2013-01-01から1年間の記事一覧

田代光の挿絵がいい、井上ひさし「四千万歩の男」

井上ひさし「四千万歩の男」(「週刊現代」講談社、1976-83年)は、「伊能忠敬」の伝記小説。伊能忠敬は56歳から〜72歳までの16年間かけて日本国の海岸線を歩き回り、歩き尽くして、実測による「日本地図」を完成させた。この間に歩いた距離は、ざっと…

堂昌一:画、子母澤寛『国定忠次』(広済堂出版、昭和50年)入手

「粋美挿画」3号の表紙に使った堂昌一の股旅物の挿絵が、何に使われた挿絵なのかわからなかったが、やっと印刷物になった絵を見つけ購入し、堂昌一:装幀、子母澤寛『国定忠次』(広済堂出版、昭和50年3版、初版=昭和47年6月)であることがわかった。 堂昌…

3年間休刊の「粋美挿画」3号がやっと完成間近に

3年間も休刊になってしまっていた「粋美挿画』3号(A4、40頁)が、やっと完成間近に。1月末発売を目標に只今鋭意制作中。 目次から、 「特集1 挿絵画家・石井鶴三」10P 「特集2 挿絵画家・堂昌一」10p 「作家・逢坂剛が見た挿絵」8p 「長岡秀星が見たアメリ…

「日本一の赤パンツ」

89歳の義母と妻と3人で、巣鴨とげ抜き地藏に行ってきた。美味しいもの、甘いものを沢山食べてお参りしたのだが、一番印象的だったのは「日本一の赤パンツ」だった。店の中の商品が殆ど全て赤1色なのだ。かつては「赤」を嫌っていた世代が、今ではお出かけす…

電車が庭先に?

エッ!? 電車が庭先に? どうやって運んだんだろうか? 考えると眠れなくなるんです。

40年前のまま「アース渦巻」のホーロー看板

散歩をしていたら、なんとなつかしい由美かおるのアース製薬(大塚グループ)の蚊取り線香「アース渦巻」のホーロー看板にであった。この看板は昭和40(1965)年代に作られたもので、もう40数年間もここに貼られていたことになる。それにしても、いまだに昔…

寒空の元に咲く花、何の花?

これは何の花? 一面がこの草で一杯。この寒空に葉が青々としてそれだけでも不思議ですが、ツユクサの葉の一部が変色したように見えますが、ハンゲショウのようににも見えます。でもどこか違う。初めてみました。

桜井書店版、徳田秋声『挿話』の装丁を読む

昭和十五年に創立した桜井書店に興味を持ったのは、当時集めていたデザイン関連書物、辻克己『図案・文案 広告資料大集成』、辻克己『新編増補応用彩色図案集』などを刊行する大同出版と、発行人が同じ桜井均であることに気がついたことであった。なぜ二社を…

夢二の憧れ? 藤島武二:画『みだれ髪』

さし絵WEB美術館設立準備の為、毎日、ただひたすら明治以降のさし絵をストイックにスキャンしている。これは殆ど肉体労働のみで頭の中は空っぽ状態です。 そんな中、ふと見つけるオアシスのような楽しみがこれ。 左=竹久夢二「露子」(島村抱月編『少年文庫…

クチナシの実の装丁、徳田秋声『挿話』

クチナシは八重と一重があり、八重は果実ができず加えて香りも少ないらしい。どうりで、近所の団地のクチナシの生け垣には実が一つもないと思っていたが、そんなわけがあったのか。撮影の時は花が質素なので避けていたが、その質素な一重の花だけに見を見つ…

『近松浄瑠璃の作劇法』の表紙画像

『近松浄瑠璃の作劇法』の刊本見本(720pの分厚い本)が献本され送られてきた。このジャケット(カバー)に使われた画像だが、とりあえずカンプ用にといって送られてきたもので、小型カメラで撮影されたと思われひどく赤かぶりしたものだった。「龍の顔と、…

比叡山延暦寺の“山法師”になぞらえた

この夏、初めて見た十字に咲く白い花、ヤマボウシの花(写真左)だが、実はこれは花びらではなく純白の花びらのように見えるのは総苞(そうほう)というらしい。名前の由来は「中央の丸い花穂を坊主頭に、4枚の白い花びらを白い頭巾に見立て、比叡山延暦寺…

除籍本『だれかがよんだ』がもったいない!

最近、川戸 道昭 /榊原 貴教『図説絵本・挿絵大事典』(大空社、2008年、全3巻揃定価:本体95,000円+税)など高価な本が必要なのだがあまりに高価で購入するのが困難なため、図書館を大いに利用させてもらっている。でも高価な本は、1泊しか貸出してもらえ…

ターナーの絵具は豚の膀胱で作られたチューブに

東京都美術館で開催されているターナー展に行ってきた。英国絵画史上最高の画家と称えられるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)。大型作品の圧倒されるほどの迫力は画面に吸い込まれるようで見応えがあった。特に晩年の象徴主義のよう…

『大東京繁昌記下町編』の挿絵が素晴らしい!

『大東京繁昌記 下町編』(平凡社、1988年)が素晴らしい。芥川龍之介、泉鏡花、北原白秋、吉井勇、久保田万太郎、田山花袋、岸田劉生と、執筆陣も豪華だが、挿絵画家も小穴隆一、鏑木清方、山本鼎、木村荘八、小村雪岱、堀進二、岸田劉生と負けてはいない。…

山椒の黄色は義経風?

日本では、紅葉狩りといって紅葉を見物する行楽に出かける人が多い。奥入瀬(青森県)や日光(栃木県)、京都の社寺などが有名で紅葉の名所と言われる箇所はさぞかし行楽客であふれていることだろう。 私は誰一人いない紅葉の名所でもない近所のお寺・東禅寺…

柴田錬三郎賞は東野圭吾『夢幻花』だが…

一昨日、帝国ホテルで「柴田錬三郎賞」など集英社出版四賞の授賞式が行われ、私も文芸評論家の細谷正充氏に随行させていただいた。柴田錬三郎賞は東野圭吾『夢幻花』(PHP研究所)だ。が、パーティで知らずにRESERVE席に座り、フルコースで食事をしてしまっ…

「挿絵WEB美術館」(日本出版美術家連盟)の設立準備

「挿絵WEB美術館」(日本出版美術家連盟)の設立準備を始めた。とりあえずは「挿絵100年史」というテーマに取り組んでてみようと、ここ数日挿絵のスキャンニングに追われている。10,000点ほど集まれば開館してもいいのかな、なんて思っている。写真は、蒐集…

カエデのプロペラ

♪赤やきいろ〜のカエデやツタは〜♪と、カエデというと紅葉ばかりが思い起こされるが、カエデの種子は、さらにお気に入りだ。 翼のある実(翼果)が二つ互いに種子があるほうに向かい合う姿でついている。落下するときはヘリコプターのようにくるくると回転し…

金沢・徳田秋声記念館で講演会

一昨日、朝6時30分の電車で金沢に発ち、14時からの講演会に行ってきた。観客は予定した人数を超え、講演も予定の2時間をはるかにオーバーして盛況だった。来年の講演会の依頼も受けたが、同じネタでは出来ないので新ネタを探さなければという宿題を大きなお…

「たけくらべ絵巻」の「紅入友禅」とは?

金沢・徳田秋声記念館での講演会「挿絵画家・木村荘八」が明日9日に迫った。講演会用に作った43枚の画像から「たけくらべ絵巻」の一部を紹介しよう。 美登利と信如に恋心がうまれ、切れた鼻緒をすげ変える為の「紅入友禅」の切れ端を直接手渡せず、格子戸か…

トケイソウは『江戸の動植物図』にも掲載されていた

うわ〜っ!なにこの幾何学的なおもしろい形の花は、もしかしてよく出来た造花ではないのかな? などとおもいながら撮影した。となり町の小さな商店街を散歩していて、窓辺に咲いているのを生まれて初めて見て、感動した。 調べてみたら、なんと江戸時代の図…

伊藤左千夫『野菊の墓』爽やかな恋と切ない結末が私の野菊のイメージ

野菊は、野生の植物で秋に咲き菊に見えるものの総称で、特定の花をさしているわけではない。最も身近に見られる野菊の代表はヨメナであるが、近似種と区別するのは簡単ではなく、一般には複数種が混同されている。野菊としては最もそれらしいのがノコンギク…

イギリスは楽しい再開!

しばらく休んでいた「イギリスはたのしい」を再開しました。今回は「マザーグース」に挑戦してみようと思い、いろいろなマザーグースを集めてみました。魔法使いの老婆ようなグースおばさんや、ちょっと若く優しい明るい感じのおばさんなど、特に決まったキ…

これは出版社による読者への詐欺行為では?

西村俊雄『四季の草花を描く植物画』(主婦と生活社、2007年、定価950円+税、写真左)、西村俊雄『四季の草花植物画を描く』(主婦と生活社、1997年、定価1400円+税、写真右)。この2冊はタイトルもカバー・デザインも定価も異なるが、掲載されている作品は…

智内兄助:さし絵、毎日新聞連載小説、宮尾登美子「蔵」の原画が

一昨日、川崎のAさん宅にお邪魔した。最近新築したという3階建ての家に8部屋ある北側の壁は全て写真のように本棚になっている。 そしてこの本棚に詰まっているのはほとんどが銅版画や絵本の原画など。昨日FBにアップした智内兄助:さし絵、毎日新聞連載小説…

『智内兄助「蔵」さしえ画集』挿絵全384点収録

9月から日本出版美術家連盟で、「さし絵デジタル美術館」を設立する為の準備に入っているが、明治〜昭和のさし絵をデーター化するのも大変な作業だが、例えばある新聞連載小説のさし絵を全点集めようとすると、ほとんどの場合は新聞を全て集めなければならず…

ムラサキシキブの名は「むらさきしきみ」の訛り?

『源氏物語』の作者と考えられている紫式部は、平安時代中期の女性作家・歌人だが、紫色の実が敷き詰められたように付くムラサキシキブの名は「むらさきしきみ(紫敷き実)」や紫色の実が茂る「むらさきしげみ(紫茂実)」が訛り、昔の才女の名を借りた語呂合わ…

「たけくらべ絵巻」「濹東綺譚」「縮図」など吉原、玉の井に

11月の講演12項目の中に、「たけくらべ絵巻」「濹東綺譚」「縮図」など吉原、玉の井など遊廓に関する内容や、「愛の勝利」など昭和初期の銀座に関する話があり、その方面の事に関しては大分深く興味を持ち資料も写真のように沢山集めた。 今では目を瞑ると新…

時代背景が昭和初期ということで読み始めた北村薫『街の灯』

時代背景が昭和初期ということで読み始めた北村薫『街の灯』(文春文庫、2006年、イラスト:謡口早苗、デザイン:大久保明子)だが読み始める前から、少々気になることがあった。 表紙に描かれた服部時計店(現和光ビル)のビルの左端が長すぎるように思える…