ターナーの絵具は豚の膀胱で作られたチューブに

東京都美術館で開催されているターナー展に行ってきた。英国絵画史上最高の画家と称えられるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)。大型作品の圧倒されるほどの迫力は画面に吸い込まれるようで見応えがあった。特に晩年の象徴主義のような光と影のドラマチックな絵画が印象的で、後の印象派画家に影響を与えたともされているが、一方では弱冠26歳でロイヤル・アカデミーの正会員になった“体制派”の画家でもあった。

今はやりの「自撮り」に挑戦してみたが、ちょっと怖いかな。



 作品も感動的であったが、私が一番印象に残ったのはターナーの絵具箱だった。260年以上も前のものなのに、つい昨日まで使われていたかのような温もりを感じた。
 当時はまだ絵具のチューブはなく、絵具は豚の膀胱で作られた小さな袋に入れていた。彼の絵具箱にはその小さな袋を入れるための小さな仕切りがありそこに一つ一つ宝物を隠すかのように大切に保管されており、画家にとっての絵具がどんなに重要なものであったかがうかがわれた。

写真上の中央部分にある15の桝に入っているのが豚の膀胱チューブ。