2010-02-01から1ヶ月間の記事一覧

新たに、同時に複数冊読みはじめるのは、山田勝『世紀末の群像』(大洋社、昭和62年)、佐渡谷重信『漱石と世紀末芸術』(美術公論社、昭和57年)、芳賀徹『みだれ髪の系譜』(美術公論社、昭和56年)、スタンリー・ワイントラウブ『ビアズリー』(美術出版社、1969年)の4冊。ウチ2冊は再読。

佐渡谷重信『漱石と世紀末芸術』(美術公論社、昭和57年) 芳賀徹『みだれ髪の系譜』(美術公論社、昭和56年) 山田勝『世紀末の群像』(大洋社、昭和62年)、猫の絵が『漱石と世紀末芸術』と同じだ。製作費をけちってイージーにT・スタンランのポスター「キ…

イラストレーターの星恵美子さんと話しているうちに、依光隆さんの話が出て大いに盛り上がった(といっても星さん一人で。私は戦後の装丁や挿絵に関しては全く無知なのだ)。星さんにとっては憧れのすごい人なのだそうで、早速調べてみた。さすがに星さんが憧れるだけの人だけあって、『ペリー・ローダン』シリーズ(早川書房)のカバー・挿し絵をまとめた『依光隆画集 / 「宇宙英雄 ペリー・ローダンの世界』(早川書房、1981年)や 画集 『零戦燃ゆ』 (講談社、平成2年)、『白旗の少女』の挿絵と装幀で1990年度児童福祉文化賞を

星恵美子:画、友成純一『吸血山脈』(朝日ソノラマ、1992年) 星恵美子:画、『NINJA』『JURAKI』(インカ帝国、2004年) 『依光隆画集/「宇宙英雄ペリー・ローダンの世界』(早川書房、1981年) 依光隆:画『THE ART OF SCIENCE FICTION』(オンライン出版)…

実践女子学園生涯学習センター(JR中央線・日野駅前)で「美しい本の話- 装丁の魅力 -」講座を毎週水曜日15:00〜16:30、4月7日、14日・21日、3回開設します。

講座内容やご予約など、詳しくは下記のホームページをご覧下さい。http://www.syogai.jissen.ac.jp/

昆虫つながりで、藤島武二「蝶」を捕まえた。1904年の第9回白馬会展に発表したこの絵は、当時の勉強ぶりを示す「縮図帖」にオデロン・ルドンの作品の模写があることから、その影響を強く受けているものと思われる。そして、更に驚かされ興味をひくのは、2000羽もの蝶が描かれているという「蝶供養」という写生帖だ。一つのモチーフに対して、よくここまで興味を持ち続けていられたものだ、と、その執着心と根気にはただただ感心するばかりだ。

藤島武二「蝶」1904年 藤島武二「蝶供養」1900年〜1906年頃、28×20cm、紙、水彩 この「蝶供養」に嘉門安雄は『近代の美術31』(至文堂、昭和50年)に、 「蝶に対する彼の、むしろ異常なまでの執着と2000羽に及ぶ蝶と蛾を写した写生帖……。おそらく名作『蝶』…

たとえばゾウムシを偶然見つけて標本箱を購入し、最初の1匹を保管する。するとすぐに隣の席にも、もう1匹捕まえたくなる。ゾウムシの形の面白さや種類の多さに驚き、「九州大学所蔵の日本産ゾウムシ1229 種を画像付きデータベースとして構築・公開しています。」等の情報を集めだし、一生かけても集められない程たくさんの種類がいることがわかると、安心してどんどんのめり込む。古書集めも昆虫採集に似ている。(マクラが長過ぎたか!)

本日採集したのは木俣清史、昭和20年代から50年代ころに活躍していたと思われる時代小説挿絵画家だ。小田富弥の弟子で、中一弥の弟分、野口昂明の兄貴分に当たる。『火の鳥伝記文庫ベストセレクション 全46巻』などを手がけているようだ。わかっているのはそ…

実践女子学園生涯学習センター(JR中央線・日野駅前)で「美しい本の話- 装丁の魅力 -」講座を毎週水曜日15:00〜16:30、4月7日、14日・21日、3回開設します。

講座内容やご予約など、詳しくは下記のホームページをご覧下さい。 http://www.syogai.jissen.ac.jp/

今更なぜ、ビアズレーなのかとお思いでしょうが、アール・ヌボーがマイブームなんです。日本で知られているアールヌーボーは、どこかエロスが欠けているように思えるので、少しずつ外国の本も見てみようと思ったのが今回のビアズレーにつながった。

『Best Works of Aubrey Beardsley』(Dover.1990)どちらかというとあまり日本では紹介されていない、ポピュラーではない絵を見たい。 『Best Works of Aubrey Beardsley』(Dover.1990) ビアズレーの挿絵は、余白を大胆に取っているところに特徴がある。…

仕事で神保町に出掛けたついでに古書市や、小宮山書店ガレージセール等にも寄ってきた。里見勝蔵『赤と緑』(昭森社、昭和17年)、北原白秋『雀の生活』(新潮社、大正9年)、木下杢太郎『蕨後集』(東光閣書店、大正15年)等を400円で購入。

里見勝蔵『赤と緑』(昭森社、昭和17年)著者自装 この装丁の圧倒的な強さと印象深さは、どうです、すごいでしょう。それもそのはず、里見勝蔵といえば、東京美術学校在学中の1917(大正6)年、第4回二科展と第4回院展に初入選。1921(大正10)年、フランス…

夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』の猫の最後のシーンがどうしても思い浮かばないので、再度読み直してみた。何と猫は、ビールを飲んで酔っ払い、甕に落ちておぼれて「南無阿弥陀仏々々々々々々。難有い々々々。」といって極楽往生を遂げる。何たる結末だ。

橋口五葉:装丁、夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』下編(大倉書店、服部書店、明治40年) 中村不折:挿絵、夏目漱石『吾輩ハ猫デアル』下編(大倉書店、服部書店、明治40年) これが、ビールを飲む猫と、甕に落ちてもがいている猫の最後の絵だ。 夏目漱石『夢十夜…

先週、高円寺の古書市で購入してきた「キンダーブック アソブコドモ」(フレーベル館、昭和11年)の表紙に宇賀輝彦のサインと思われる「TERU」を見つけた。

「キンダーブック アソブコドモ」(フレーベル館、昭和11年) キンダーブックの表紙を描いているほどの挿絵家なら、略歴などの情報がもう少し簡単に手に入りそうなのだが、何しろ、GoogleでもYahoo!でも私のブログしかヒットしてこない。これで、やっと2冊の…

実践女子学園生涯学習センター(JR中央線・日野駅前)で「美しい本の話- 装丁の魅力 -」講座を毎週水曜日15:00〜16:30、4月7日、14日・21日、3回開設します。

講座内容やご予約など、詳しくは下記のホームページをご覧下さい。 http://www.syogai.jissen.ac.jp/

挿絵家や装丁家の名前を示すサイン(落款)の解読に興味を持ち、200名ほど集めたが、『世界童話全集 世界童謡集(上)』(近代社、昭和4年)の装丁は誰が手がけたのか、ずっと気になっていたがわからなかった。見返しや扉、奥付に至るまで武井武雄を思わせるアール・ヌーボー風の見事なさし絵で飾られており、いずれ名のある装丁家の仕事に違いないと思っていたので、「すぐにわかるさ」と安易に構えていた。

巻頭口絵のノドの部分に薄い紙が破りとられた跡があるので、もしかしてその紙には名前が書いてあったのかも知れない。さし絵の隅には「TER」と書名が記されているので、「テル」と名のつく挿絵家を探してみたが、このサインをこの本以外ではなかなか見つける…

先日、同時に3冊を読み始めた事を書いたが、まだどれも読み終わらないうちに、吉田敦彦『漱石の夢の女』(青土社、1994年)と、巖谷小波:著、巖谷大四:編『桃太郎主義教育』(博文館新社、昭和59年)を購入、読み始めてしまった。

巖谷小波:著、巖谷大四:編『桃太郎主義教育』(博文館新社、昭和59年)、吉田敦彦『漱石の夢の女』(青土社、1994年) 『漱石の夢の女』が、また、アールヌーボー、女などをキーワードにして、前回読み始めた本の内容とうまいこと絡み合ってくるからやめら…

前回紹介したのは、初山茂:装丁『小川未明童話全集』全5巻(後に16巻になったようだ。)だったが、実はリニューアル版があった。こちらは、武井武雄:装丁『定本小川未明童話全集』全16巻(講談社、昭和51年)。さし絵はどちらも同じだと思うが、詳しいことは未調査。この本はBIGBOXで500円で購入したが、ネットで外の巻を探したら2000円もするので、地道に古書市通いをつづけることにした。

武井武雄:装丁『定本小川未明童話全集』全16巻(講談社、昭和51年)

実践女子学園生涯学習センター(JR中央線・日野駅前)で「美しい本の話- 装丁の魅力 -」講座を毎週水曜日15:00〜16:30、4月7日、14日・21日、3回開設します。

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初山茂:装丁『小川未明童話全集』全5巻(講談社、昭和25年)の挿絵がすごい。揮毫しているのは、初山滋、武井武雄、川上四郎、村山知義、山路眞護、小川哲郎。初山滋の前扉や目次扉などの装丁の斬新さもさることながら、これらのモダンな挿絵家が代わるがわる挿絵を担当しているのだから、豪華さたるや押して知るべしだろう。小川哲郎というのは知らなかったが、どうも小川未明の御子息らしい。

初山茂:装丁、『小川未明童話全集』全5巻(講談社、昭和25年) 武井武雄:画、『小川未明童話全集』)講談社、昭和25年)第2巻巻頭口絵 川上四郎:画、『小川未明童話全集』(講談社、昭和25年)第3巻巻頭口絵 例えば、第3巻には1頁大の挿絵が38点も入って…

日本出版美術家連盟の画集2010版の巻頭10頁(A4版、28頁)に「99歳でなおも活躍を続ける挿絵画家・中一弥」を昨年10月から書いていた。まずは末國善己「挿絵画家・中一弥』(集英社新書、2003年)をはじめ、古本屋・古書市通いをして、「小説読物」「読切倶楽部」などなど重ねると私の背丈ほども資料を集めました。

昭和20年代〜30年代(一弥35歳〜55歳)に描いた挿絵は秀一で、特に官能的な女性の顔の表情などは、見ているだけでドキドキしてくる。コケティッシュでなまめかしく、そして知的な感じがいい。 日本出版美術家連盟画集2010版巻頭特集 日本出版美術家連盟画集2…

なんの本に書いてあったのかは忘れたが、井上靖『ある偽作家の生涯』を紹介されていたので、早速購入して読みはじめた。文庫本の50頁程の短篇だが結構読ませる。

井上靖『ある偽作家の生涯』(新潮文庫、昭和46年18版)、カバー画:平山郁夫 さわりを紹介すると、ある新聞社の美術記者が、日本画家大貫桂岳の遺族から伝記編纂の仕事を依頼される。調査を進めていくうちに、桂岳の偽作を描き続け暗い不幸な生涯を送った原…

中学生の頃からの習慣で、3冊を同時に読み始めた。今回は下記の3冊。

・ウォルター・クレイン『書物と装飾』(国文社、1990年) ・J・R・テイラー『英国アール・ヌーボー・ブック』(国文社、1993年) ・西村清和『イメージの修辞学』(三元社、2009年) たくさんの本をカバンに詰め込んで持ち歩いているので、往診に出掛ける医…

またまた詩画集の話に戻ってしまったが、本日は、堀口大学:訳/ギョーム・アポリネール『動物詩集 叉は オルフェ様の供揃い』(求龍堂、1980年第2刷)、A4変形の大きな本だ。

あとがきにあたる「新訳縁起」には「先に第一書房からアポリネールのLe Bestiaire を『動物詩集』と題し、翻訳出版したのが1925年の12月だった。今から53年前のことになる。原作の初版は1911年、パリのドプランシ社から、ラウル・デュフィーの木版さし絵入り…