2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

先日購入した、日本刀の鍔を象嵌したコーネル(角革)付の本に6時起きして初挑戦し、午後1時まで食事もしないで制作し、やっと完成させた。

改装する前の山岡荘八『織田信長』(講談社、1991年)カバー、装画:村上豊 初挑戦の刀の鍔を象嵌したコーネル付『織田信長』改装本 表紙の平に使用したのは、経師屋さんが使い古しの和装本をばらして、その和紙を張り合わせる練習でもしたのか、数枚貼合せ…

昨日アップした合本の表紙に貼ってあった中沢弘光の装画は大正3年5月1日に発行された『新小説』第19年5巻の「竹生島」であることがわかった。

装画:中沢弘光『新小説』(大正3年5月1日) 本文は、製本をばらして小説だけをまとめ、表紙には『新小説』の装画を切り取って合本の表紙に貼付けたようだ。しかし、ここに閉じられている本文は「白虹」のもののようだ。 この訳のわからない合本を購入しよう…

来週、桑沢デザイン研究所でゲスト講演を4コマ(6時間)やることになり、文庫本を布装上製本にメタモルフォーゼさせてみようと思っている。折角だから、ただ布装にするのではなく、ちょっと豪華に、表紙に日本刀の鍔(つば)を象嵌させてみたくなり、写真の鍔を購入してきた。

40人ほどのワークショップなので全員がこんなに豪華な表紙つくりに挑戦するとはとは思えないが、タイルやペンダントや壊れた時計など、あるいは木の枝を輪切りにして題簽にするなど、何か別のものを貼り込んでもらえるのではないかとの期待を込めての鍔の象…

明日11月26日は東京造形大学でのゲスト講演を2コマ(3時間)やってきます。内容は、「装丁は総合芸術」というテーマで、斎藤昌三の下手本の話や芥川龍之介の限定本『地獄変』など10冊ほどの特異な装丁本に関する蘊蓄を講義、そして、2コマ目では、文庫本の表紙をはぎ取り、布装上製本へとリニューアルさせ、この世に1点だけしかないオブジェとしての装丁へとメタモルフォーゼするのを実演する。

この準備に1ヶ月もかかってしまった。製本実演のリハーサルを繰り返し、資材や道具を揃え、更に料理の番組のように、時間を省略するためにノリが乾く時間を待っていられないので、途中途中の完成品を見せ、 その続きを作業するようにすると、いくつもの途中…

装丁:恩地孝四郎、小松耕輔『西洋音楽の知識』(アルス、昭和4年)は、一氏義明『西洋美術の知識』とシリーズなので同じ装丁だろうと思い込んでいたが、2冊並べてみたら、ぜんぜん違う装丁だった。函つきで500円と安かったので、裸本と買い換えるつもりで購入してきたのだが、思いがけず見事な装丁を手に入れる事がfできてこんな嬉しい事はない。『西洋音楽の知識』『西洋美術の知識』は恩地の装丁の中でも大好きな5冊の装丁にはいり、添い寝したくなるほど大好きな「添い寝本」だ。

装丁:恩地孝四郎、小松耕輔『西洋音楽の知識』(アルス、昭和4年) 装丁:恩地孝四郎、一氏義明『西洋美術の知識』(アルス、昭和4年) 前衛美術の影響を取り入れた見事な装丁で、まさに「装丁は時代を映す鏡だ」の言葉通りの、美術史とも連動する貴重な装…

吉川英治『神州天馬侠』は大正14年から昭和3年に「少年倶楽部」に掲載され、山口将吉郎の正確で精密な挿絵と共に人気を博した。お家再興を願って山に立てこもる信玄の孫伊都丸と、大鷲の背に乗って自由に空を飛ぶことが出来る竹童の話だが、戦後に刊行された栗林正幸が挿絵を描いているポプラ社刊『神州天馬侠』を見つけた。

この2冊の中から全く同じシーンを描いた絵を見つけて並べてみたら面白いのではないか、とおもい、チョット意地が悪いかも知れませんが、探してみた。 挿絵:山口将吉郎、吉川英治『神州天馬侠 多宝塔』(「少年倶楽部」大正14〜昭和3年) 挿絵:栗林正幸、吉…

『天平童子』といえば伊藤彦造が描いた挿絵が印象に残っている。だが、先日、吉祥寺に行った時に『天平童子』上、下(ホプラ社、昭和30年)を購入。あの伊藤彦造が戦前『少年倶楽部』(昭和12〜14年)に描いた厳しい顔の天平童子に比べると、どことなく優しくなっているが、なぜ?

挿絵:伊藤彦造、吉川英治「天平童子」(『少年倶楽部』昭和12〜14年) 挿絵:伊藤彦造、吉川英治「天平童子」(『少年倶楽部』昭和12〜14年) 挿絵:土村正寿、吉川英治『天平童子』前編表紙(ポプラ社、昭和30年) 挿絵:土村正寿、吉川英治『天平童子』後…

「親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしてゐる。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間程腰を抜かした事がある。」で始まる夏目漱石『坊ちゃん』のキャラクターを最初に決めたのはだれだろうか?

挿絵:細木原青起、(『名作挿絵全集』第二巻「夏目漱石作 坊ちゃん」、平凡社、昭和10年) 栗を盗みに来た勘太郎を捕まえた。 挿絵:細木原青起、(『名作挿絵全集』第二巻「夏目漱石作 坊ちゃん」、平凡社、昭和10年) 四国の中学校に赴任し、先生たちのあ…

かつて、小磯良平が描いた図鑑を持っているといって写真を送ってきた某大学のO教授からまたも「自慢……」として、6点の写真が送られてきた。『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年)と『日本の野鳥羽根図鑑』(世界文化社、1995年)がその図鑑だ。

絵:小磯良平 清水武美、梅林正芳『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年) 清水武美、梅林正芳『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年) 清水武美、梅林正芳『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年) かなりマニアックな図鑑なので、いずれの図鑑…

村越三千男(1872-1948)の没後に刊行され事実上最後の出版物となった『原色植物大図鑑』全5巻(誠文堂新光社、昭和30年10月)には、あのいがみ合う敵対関係にあった牧野富太郎が、補筆改訂を買って出ている。牧野が見せた村越への感謝の気持ちだったのだろうか、牧野の人間性の一端がうかがわれるようないい話ではないですか。素直に口には出せない男の友情ですね。

『原色植物大図鑑』第1巻(誠文堂新光社、昭和30年10月) 巻頭には牧野富太郎が「補筆改訂に際して」という一文を寄せているので、転載して見よう。 「植物に関する図鑑書は現在迄に多数刊行されているが、本書は世界各国に産する植物を網羅した点において、…

関越自動車道の水上ICから藤原湖、奈良俣湖へ

東京はまだ紅葉にはなっていないが、水上紅葉峡、照葉峡、藤原湖、奈良俣湖、奥利根水源の森、坤六峠、片品吹割り、老神温泉、昭和ICと、ドライブでひと足お先に紅葉狩りにいってきました。奥利根水源の森では既に落葉していて冬景色になっていました。奥利…