2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

清水良雄装丁『赤い鳥』には広告にもおしゃれな図案文字が

写真は ・装丁・清水良雄『赤い鳥』第13巻4号(赤い鳥社、大正13年) 『赤い鳥』は1918年7月1日に鈴木三重吉が創刊した童話と童謡の児童雑誌で、近代児童文学や児童音楽の創世期に重要な影響を与えた。1929年〜1931年の間休刊があるものの三重吉の死(1936年…

装丁=清水良雄『赤い鳥』は挿絵だけでなく題字もうまい!

この雑誌も装画が気に入って集めていた。初山滋や武井武雄のデフォルメのきいたいつもドキドキさせる挿絵と違って、しっかりと自然なデッサンに基づいた情緒あふれる装画だが、トリミングやしぐさや表情とらえ方などの感性がずば抜けて見事で、気まじめな画…

辻克己編『商業広告図案大集成』は10万円もする

辻克己編『商業広告図案大集成』が欲しくてネットで検索したら10万円もするので、即刻あきらめた。でも神保町で見てきたら函入のきれいな本でも2万円で売っていた。それでも即刻あきらめた。 そんな折り、昼休みに新宿・世界堂へボンドなどを購入に行き、つ…

昨日掲載した初山滋の『日本童話選集』見返が気になって

『日本童話選集』見返にあった人で作った文字の原形を探していたがなかなか見つからず、とりあえず見つかった資料を掲載します。 思うような資料を見つけることができず、今日の調査は空振りでした。よく似た書体を見た記憶があるのだが……。

現代商業美術全集

いったい誰が収集し所有していた資料なのか。 内外の最高峰のデザインが収録網羅されているこの本 ・『現代商業美術全集21』(アルス、昭和4年) はどこを開いても1910-20年代のものと思われる宝石のように輝くデザインばかりが集められている。編者たちの選…

このモダンな装画がなぜ表紙にならないのか?

・弘田龍太郎作曲『いなば兎』(早稲田大学出版、大正13年) の前扉(下)は表紙(上)よりきれいだと思いませんか。 超モダンでかっこいいのだが大正13年にはこのような絵を使った装丁は少ない。つまりまだ市民権を得ていない様式だったのではないか。 私の…

野沢秀雄編著『文字ト画丿図案化資料』

野沢秀雄編著『文字ト画丿図案化資料』(冨文館書店、昭和4年)は、どちらかというとカット図案が主で、文字の情報は従のような印象がある。でも本のタイトル文字はかなりお洒落だし編集もなかなかうまい。まさにブームの絶頂期に描かれたタイトル文字という…

夢二装丁、『ジョセランの子守歌』(セノオ音楽出版社、昭和4年15版、初版=大正13年)

先ほど、仕事で出かけたついでに、神保町で友人が経営する古書店・晴玉に寄ってみた。装飾図案文字の話をしたらこのセノオ楽譜を見せてくれたので、早速購入した。以前にも夢二は創作文字を早くから取り入れたパイオニア的存在であることを話したが、この楽…

大正時代にも装飾文字のタイトルが

岡本帰一のイラストが良くて購入しておいた『ガリバー旅行記』(冨山房、大正11年4版、初版=大正10年)だが、タイトル文字も図案文字を使っている。 巻末広告にはシリーズ本の写真が載っていて、岡本帰一装丁『イソップ物語』はかなり見事な図案文字のタイ…

昭和初期の装飾文字をコレクション、集成

辻克己『現代図案文字大集成』(浩文社、昭和12年7版、初版=昭和9年1月)は、書体集にもかかわらず編集が面白い。 目次の項目をあげてみると ・特殊図案文字 ・いろは図案文字 ・モノグラム・マーク集 ・各流書體と活字體 ・著名商品文字 ・図案英文字集 ・…

少し古い本も紹介しよう。

・山村暮鳥『ちるちり・みちる』(洛陽堂、大正9年)装丁=小川芋銭? ・長尾豊『夏季学校お話集』(厚生閣、昭和3年)装丁者不明 大正9年に「ちるちる・みちる』の文字を制作したとしたら、結構早い時期の装飾文字といえる。それにしては良くできたデザイン…

最近のキネマ文字

『新版丹下左膳』の場合のキネマ文字はレトロなイメージを喚起するために用いられていたが、 今回の伴田良輔『女の都』(作品社、1992年)造本=祖父江慎は、古いということだけではなく、女っぽさをも表現する文字として採用されている例だ。キネマ文字は女…

今も使われているキネマ文字

キネマ文字の「キネマ」とは映画、活動写真、シネマ等の意味でKINEMATOGRAPHの略語だ。 古書市や骨董市等では決まって、キネマ文字(装飾図案文字)が使われる。雑誌の特集等でもこのスタイルの文字はおおモテだ。そう、この文字を使えばだれもが懐かしがっ…

『その儘使へる絵と実用図案文字』

表紙の文字は黄土色の地に金箔押ナノで、金箔の輝きがなくなると文字は地の色と似た色になり読めなくなってしまう。せっかくモダンなタイトル文字なのだが、画面では見えづらいのではないかと思います。 十時柳江『その儘使へる絵と実用図案文字』(弘文社、…

装飾図案文字、キネマ文字

●本棚からの一掴み図案文字が使われている装丁の実物を本棚から探して見たら、見事な装飾文字の本が結構出てくるものだ。 今日アップした本は写真上から ・装丁家不明、夏秋亀一『赤露の秘密』(萬里閣書房、昭和5年) ・「苦楽」第5巻第12号(プラトン社、…

「これはすごい!」と叫びたい『図案文字大観』

POP[Point Of Purchase] などレタリングをやったことがある人なら理解してもらえると思いますが、たとえば「地上の楽園」と書いてある文字を見て、それと同じ書体で「本日大売り出し」などと書くには、それなりの訓練が必要で、一朝一夕にはできるものでは…

関東大震災以降第二次大戦までの装丁は装飾図案文字の宝庫

装丁作品に、装飾図案文字が最もたくさん登場するのは関東大震災から第二次世界大戦が始まるころだ。装飾図案文字を取り入れていることが最も斬新であることの証明であるかのように当代のトップ装丁家たちが競って装飾図案文字を書物の題字に取り入れていた…

竹久夢二『童話集 春』(研究社、大正15年)

夢二のこのタイトル文字は明らかに装飾文字を意識していたものと思われるが、発表の時期としては装飾文字のブームよりもかなり早い時期であり、時代の先端を走っていた夢二の目は西欧の新しい文化や美術に照準を合わせていたことが分かる貴重な作品といえる。…

田邊泰編集『装飾図案文字』(洪洋社、大正13年11月)

この本は、外国で作られた図案文字の紹介で、国内の作品は掲載されていない。昭和初期にブームとなる装飾文字の草分け的な、或は教科書的な存在の本である可能性が高く、各作品に製作者名が記されているのは資料的価値が高い。 原本となった書物の紹介がなさ…

『明星』4号のロゴタイプ

「創作文字」「装飾文字」「図案文字」に関する本は大正末から昭和初期にかけて大量に発行された。いきなり雨後の筍のように。図案化された文字に関する本はおそらくそれ以前にはなかったものと思われる。 では、突然ブームになった図案文字は、その時初めて…

吉祥寺・百年での講演会はおかげさまで予定の人数をクリアすることができ、好評のうちに無事に終了することができました。応援ありがとうございました。

『新しき図案文字入門』

東京洋画研究会編『新しき図案文字入門』(大東書院、昭和10年再販、初版9年1月)。表紙の挿絵はいったいなんの本だろうかと思わせるような、理解に苦しむ絵が配されている。 タイトルでは「図案文字」と表現しているが、序文では「意匠文字」とも言っている…

★「私の好きな装丁家8人衆」講演会ご案内★

装丁の美しさで集めた書物を50冊ほど持っていきます。 移動ギャラリーとしても十分楽しめます。 一緒に装丁の話をしながら夏の夜を語り明かしませんか。●日時……2007年8月3日(金)20:00〜22:00●チケット代(1ドリンク付)……800円、●定員……45名。予約のお申…

『昭和モダンアート3 タイポグラフィー』(MPC、2004年、1800円+税)を購入

よくクオ(QUO)カードをいただく機会があり、何枚もたまる。しかし、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアで使えると書いてあるのでいざ使おうとすると、「当店では使えません」と断られてしまうことが多く困り者だった。そんなおり、ネットで「新宿・ジ…