2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

大貫伸樹の造本探検隊39(書物展望社「扇」)

呉文炳『随筆 扇』(書物展望社、昭和15年)の本文用紙は、ちりめん紙が使われているのでははないかと思われる。雰囲気としては、レストランでフォークなどをくるんでいるあの皺(しわ)がある紙は、檀紙(だんし)というのだが、これによく似ている。 ちり…

広川松五郎の装丁

今まで、あまり紹介する機会がなかったが、広川松五郎の装丁を3〜4年間集めてきた。私の大好きな装丁家の一人である。 といっても、さほどたくさん所有しているわけではない。架蔵書一覧で確認すると25冊ほどあるので、少しずつ紹介していこうと思う。最も知…

大貫伸樹の造本探検隊37(「きょろろ鶯」)

ゲテ本とは打って変わって品のある装丁だが、これも書物展望社の出版物である。白山春邦装丁、北原白秋『きょろろ鶯』(書物展望社、昭和10年)と、木下杢太郎自著自装『雪櫚集』(書物展望社、昭和9年)は書物展望社の本の中でも格別に見事な装丁といえるだ…

大貫伸樹の造本探検隊36(「書物展望社本」)

仕事で水道橋に出かけたついでに、久しぶりに古書「玉晴」によってみた。何点か購入した中に、今村秀太郎『書物展望社本』(日本古書通信社、昭和46年)があった。今村の著というよりは編著である。 巻頭に斎藤昌三の「展望社の思ひ出、其他」と題する文が10…

大貫伸樹の続装丁探索35(書物展望社の本)

書棚を眺めていたら購入したことも忘れていた本、齋藤昌三『阿奈遠可志』(展望社、昭和43年)が出てきた。この本は、序文の日付から昭和35年5月に書かれたものであることがわかる。齋藤昌三は、昭和36年11月に肺気腫でなくなっているので、没後発行されたも…

大貫伸樹の続装丁探索34(書物展望社の本)

齋藤昌三が主宰する書物展望社は、「破れ番傘などを活用するゲテ装幀本などに凝って、廃物利用による奇抜な百二、三十種の本の装幀もやった。」(城一郎「齋藤昌三先生の業績」『限定本』3)とあるように、私が知らないゲテ本がまだまだあるらしい。 「書物…

これを読めばコラージュがわかる!

こんな作品に興味のある方は、チャールズ・シミック『コーネルの箱』(文芸春秋、2003年、定価2800縁+税)の一読をお進めします。

これでも本といえるのか?

絵本は絵をたくさん印刷して綴じたものだが、印刷した絵でなく、本物のコラージュ(貼り合わせ絵画)を綴じたものでも本であることには変わりないのではないか? という、「本とは何か?」との、本の定義そのものに根源的な疑問を突きつけた、実験的な意欲作…

コラージュの詰め込み

コラージュとは貼り合わせという意味です。今回の作品は、お歳暮に贈られた素麺の箱を利用して、貝殻や切手、豆、燐寸棒などを貼りこんだ外箱に,7枚のコラージュを詰め込んだもの。いわゆる廃品利用の典型的ゲテ本だ。厚手の和紙を使ったコラージュは屏風の…

ステンレスのケース

『MASTY SANTA]』(FORTYWINKS STUDIO、1986年)はステンレスのケースに入った本である。写真の右半分がその金属製の函だ。かつて、「書籍と金属は似あわない」といった書誌学者がいたが、書物も年々技術革新の波に洗われ金属の函くらいでは驚かなくなってし…

大貫伸樹の続装丁探索32(ステンレスの函 『NASTY SANTA』)

佐野繁次郎装丁、横光利一『時計』の表紙がアルミなのかジュラルミンなのかについては、まだ、はっきりと答えがでたわけではないが、そんな話はどうでもよくなるほどの本を見つけた。