『智内兄助「蔵」さしえ画集』挿絵全384点収録

9月から日本出版美術家連盟で、「さし絵デジタル美術館」を設立する為の準備に入っているが、明治〜昭和のさし絵をデーター化するのも大変な作業だが、例えばある新聞連載小説のさし絵を全点集めようとすると、ほとんどの場合は新聞を全て集めなければならず、こちらはもっと困難な作業だ。新聞連載小説を切抜きしてまとめたものを古書市などで見かけるが、戦前のものなどはあまり見かけない。
 戦後(昭和38年以降)のさし絵を集め、ネットで見られるようにするとなると著作権の問題が発生してくるのも、さらに乗り越えなければならないもう一つの問題でもあり、多くのハードルが待ちかまえている。
 今回入手した『智内兄助「蔵」さし絵画集』(毎日新聞社、1993年)には、毎日新聞連載小説、宮尾登美子「蔵」(平成4年3月26日〜平成5年4月26日)のさし絵384点全てが収録されている。
 このように、さし絵が完全に収録されているのは希なことであり、さし絵デジタル美術館にとっては蒐集の苦労がなく理想の画集だ。が、クリアしなければならない著作権の許諾だが、資金がないのがネックなのだ。

『智内兄助「蔵」さし絵画集』(毎日新聞社、1993年)


そんな意味では、木村 荘八(1893年8月21日-1958年11月18日)画、永井荷風の代表作『濹東綺譚』(朝日新聞連載)などは、全ての問題をクリアしているのでありがたい作品だ。

木村荘八:画、永井荷風「濹東綺譚」挿絵、1937(昭和12)年



木村荘八:画、永井荷風「濹東綺譚」挿絵、1937(昭和12)年

処分しようと思っているさし絵をお持ちの方で無料でご提供いただける方は、日本出版美術家連盟「さし絵デジタル美術館」準備委員会まで是非ご連絡をお願いいたします。