2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

杏仁豆腐が杏の種子だとは知らなかった

小学生のころに、裏山に生えている杏(あんず)の木を見つけ、誰にも内緒でたわわに実った杏を独り占めして密かに食べていたことがあった。が、杏は他の果樹に比べ、日もちが悪いことや糖度が低く酸味が強いなど商品にはなりにくく、最近はは祭の時の杏飴や…

繊細な花ビラの紫色が典雅な平福百穂:画『歌集 紫草』

住宅地の生け垣などでよく見かける、繊細な感じの花ビラの紫色がひときわ典雅で印象的な花、クレマチスは、中国原産の「テッセン」、日本原産の「カザグルマ」などと、西洋種が交配された園芸種の総称だ。「鉄線」は細いが針金のような強いつるから、その名…

実のないはずのヤマブキの実を見つけた

「七重八重 花は咲けども山吹の 実の(蓑)一つだに無きぞ悲しき」(兼明親王)は、太田道灌が、農家で蓑を借りようとしたが、少女が出てきて、だまって山吹の花を差し出された。が、道灌には意味が分からなかった。後で家臣から有名な昔の歌を引いていること…

芥川龍之介の短編集『沙羅の花』も凋落し易いものかも?

芥川龍之介の短編集『沙羅(しゃら)の花』 (改造社、大正11年8月、装幀:小穴隆一)の「自序」に「……沙羅の花は和漢三才圖繪に拠れば、白軍辧状似山茶花而易凋といふ事である。是等の作品も沙羅の花のやうに凋落し易いものかもしれぬ。かたがたふと思ひつ…

高橋忠弥:画、「文藝首都」左の花はヤブミョウガ?

ヤブミョウガはミョウガに混じって生えていたり、葉の感じが似ているので、最近まで同一植物かと思っていたが、全く別のものだったようだ。花を見れば咲く部分や形・色が全く異なるので別種であることに異論を挟む余地はないのだが、ヤブミョウガはツユクサ…

ジュズダマとハトムギはよく似ているが別物?

ジュズダマと、ハトムギ茶やシリアル食品のハトムギは同じだと思っていたが、ジュズダマは殻が硬くて食用にはならず、よく似ているがハトムギはジュズダマの栽培種で別物なのだそうだ。 そういわれれば、近所には女の子が多かったので、夏休みの終わり頃にな…

高橋忠弥:画『加納大尉夫人』装画は夫人がおしろい花で化粧

幼いころに、種を潰して出て来た白い粉を鼻の頭に塗って遊んだオシロイバナ。皮が固くなる前のタネを採り、指でつぶすと出てくる中身(胚乳)が、真っ白な粉状でおしろいようなのでオシロイバナの名前がある。名づけ親は江戸時代の博物学者・貝原益軒。 花は夕…

宮沢賢治『銀河鉄道の夜』には烏瓜という言葉が何度も登場する

カラスウリの赤い実はよく知られているが、花は意外と知らないひとが多いのではないだろうか。暗くなってから開き朝にはしぼんでしまう一日花だから。そういう私も満開の状態は見た記憶がない。 それでは、と、近所にカラスウリを見つけ撮影を試みた。太陽が…

松山文雄:画、壷井栄『暦』は内容にマッチした見ごとな挿画

公園の鉄棒脇に生えていて鉄棒が使用ができなくなるなど、最近よく見かける私の身長ほどもある背の高いアザミ。茎頂にテマリ形の紅紫色や紅色、ピンク色や白色などの愛らしい頭花を咲かせているが、鋭く長い針は攻撃的で威嚇しているエイリアンか獣のように…

グレープが歌う「ほおずき」は。ほろ苦く甘酸っぱいホオズキの味

赤い実をよく揉んで、ゆっくりと中身を引き出しくり抜き、皮だけにした小さな丸い風船のようなものを、口に含んでブイー、ブイーと鳴らして遊んだなつかしい鬼灯(ほおずき)。ほろ苦く甘酸っぱい中身は食べてしまった。この果実を鳴らして遊ぶ子どもたちの…

長塚節『土』鳳仙花は 寒村を象徴する花なのか

生命力の強い花なのか道端でもよく見かける鳳仙花(ホウセンカ)は、赤い花が印象的だが、熟して自然に弾ける寸前となった果実は指で触るだけでも容易に弾けるのが楽しくて、パチン、パチンと弾けさせた記憶のほうが強い。まるで小さな動物が逃げ出す瞬間の…

ジョバンニとともに銀河鉄道に乗り込む同級生もカムパネルラ

ホタルブクロの名前の由来は、かつて火垂(ほたる)と呼ばれていた提灯(ちょうちん)に似ているからという説がある。「あめふり」とも呼ばれ、その名の通り、この花が咲き出したら、空梅雨(からつゆ)といわれていた東京にも雨が降り出した。そんなだから…

不名誉な名前を付けられ可愛そうなヘクソカズラ

不名誉な名前を付けられ可愛そうなヘクソカズラ (屁糞葛)だが、葉を揉んで臭いをかげば納得せざるを得ない。臭そうな名とは異なり、薮の中に隠れるように咲く小さなその花はよく見ると可憐で輝くように美しい。 この気の毒な名前は、ひとえに悪臭のせいだ。…

木村荘八展で講演します

7月13日〜8月25日に開催される春陽会第90回記念「生誕120年 木村荘八展」(於:小杉放庵記念日光美術館)のフライヤー(チラシ)が届いた。 8月24日(土)14:00〜に開催される講演会の依頼を受け「絵で綴る文学 木村荘八の挿絵と装丁」というテーマで2時間…

2000羽もの蝶が描かれているという藤島武二のスケッチ「蝶供養」

ツマグロヒョウモンは、有毒の蝶・カバマダラに擬態しているとされ、優雅にひらひらと舞う姿も似ているという。ただしカバマダラは日本では非常に珍しく、擬態として機能していないのではないかといわれている。 雄の翅の表側はヒョウモンチョウ類に典型的な…

高いところに咲く朴の花をモチーフにした深澤紅子:装画『辺境の食卓

朴葉には芳香・殺菌作用があるため食材を包んで、朴葉寿司、朴葉餅などに使われる。また、落ち葉となった後も、比較的火に強いため味噌や他の食材をのせて焼く信州名物『朴葉味噌』を焼く時使うことでも知られている朴葉だが、こんなに見事な大輪の花が咲く…