2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

津田清風:画、夏目漱石『道草』袖珍本の絵はボタンなのか芍薬なのか

「牡丹餅」(ぼたもち)と「おはぎ」は同じものだが、牡丹の咲く彼岸(春の彼岸)に食するのをぼたもち、萩の咲く秋の彼岸に食するのをおはぎとよぶ。では牡丹と芍薬(しゃくやく)はどうやって違いを見分けるのか? どちらも同科同属で美人に例えられるし………

清水良雄:画「赤い鳥」表紙のトチノキの木陰が涼しそう

トチノキとホウノキは、どちらの葉も時には40〜50cmくらいになり、枝の先端部分に5〜7枚の葉を手を広げたように付ける。その葉は共に山一番に大きく目立ち良く似ていて間違いやすい。生活との関連では栃餅(とちもち)しか思いだせないが、マロニエと呼ばれ…

小穴隆一:画、芥川龍之介『侏儒の言葉』の表紙は相互尊敬の象徴!

散歩はいつも午後3時頃に出かける事にしていたが、午後では花に元気がないので、今日は「あまちゃん」を見てすぐに近所の住宅街へ出かけた。ムラサキツユクサ、ヒルガオ等がみずみずしい花を咲かせていたので、2時間で200枚も撮影した。塀に咲き乱れるルリマ…

本日最大の掘り出し物『八十日間世界一周』

3ヶ月に一度の歯科定期検診に銀座まで行き、帰路途中で古書市・古書店をはしごした。神保町では堀田滿『植物の生活誌』(平凡社、昭和55年、写真右)、居初庫太『花の歳時記』(淡交新社、昭和43年、写真左)、『四季の草花図鑑500』(主婦の友社、平成8年)…

加藤まさを:画/著『遠い薔薇』は装幀に薔薇の花を配した数少ない本

日本はバラの自生地として世界的に有名で、品種改良に使用された原種のうち3種類(ノイバラ、テリハノイバラ、ハマナシ)は日本原産なのだそうで、江戸末期には、西洋バラも盛んに栽培されるようになったという。 「バラが咲いた」や「百万本のバラ」など大…

中川一政:画『美しい季節』のすかんぽの絵は誰でも描けそうだが

スカンポ(酸模)はスイバ(酸葉)ともいう。いずれも漢字を見ただけでちょっと酸味のある植物であることがわかる。子どもの頃に繊維質の茎の部分をしゃぶって酸っぱさを楽しんだ。そんな時はきまって、北原白秋作詞・山田耕筰作曲「酸模(すかんぽ)の咲く頃…

宮沢賢治『春と修羅』表紙に描かれているはタンポポ?

広川松五郎:画、宮沢賢治『春と修羅』(関根書店、大正13年4月)に描かれている植物はずっとタンポポだと思っていたが、文献資料によるとどうもアザミのようだ。 『春と修羅』の出版にあたって、賢治とは義理の兄弟にあたる関登久也(本名、岩田徳弥)が奔…

睡蓮と蓮をあしらった杉浦非水の装丁本

毎日1万歩を目標に散歩しているが、昨日は睡蓮の花が見ごろだというのでちょっと足を伸ばし立川・国営昭和記念公園に行ってきた。が、2万歩を超えてしまい歩きすぎたようだ。 小学生の頃に聞いた、2000年前の弥生時代後期の蓮の果実を大賀一郎博士が発芽させ…

エンドウ豆を表紙絵に取り入れた川端龍子:画『無限の道』

グリーンピースもサヤエンドウもスナップ豌豆も、エンドウ豆(豌豆豆)で、成熟する過程で採取する時期の違いだけでみんな同じかと思っていたが、それぞれ別の種類だったんですね。「宛」は曲がった輪という意味で、美しい眉は細く曲がっていることから、美…

「なでしこ」を表紙絵に取り入れた平福百穂:画『羽仁もと子著

「なでしこ」を検索すると「なでしこジャパン」がでて来る。おかげで忘れられかけていた「やまとなでしこ」などもどっこい思いだしてもらえたようだ。「なでしこ」は花が小さく色も愛すべき所から愛児に模して「撫でし子」としたという。ついでに「やまとな…

ナラの木をモチーフにした白山春邦:画、北原白秋『きょろろ鶯』

東大付属演習林を散歩中にナラの実生(写真左)を見つけた。落ちたドングリは大半が虫食いか、乾燥などで発芽できなくなってしまい芽を出す確率はかなり少ないという。 実生ではないがナラの木をモチーフにした、白山春邦:画、北原白秋『きょろろ鶯』(書物…

佐竹義輔 『日本の野生植物』草本(平凡社)を購入

花を見つけると手当たり次第に撮影してきたが、いざ使いやすくするためにファイル名を付けようと思ったがほとんど名も知らぬ花ばかり。ネットで検索すれば…と思ったが、写真の花の名前を調べるにはどうすれば良いのか? やっぱり紙の本の植物図鑑でパラパラ…

ドクダミをモチーフにした装丁、木下杢太郎:画、著『雪櫚集』

マンションの北側にある幅3mほどの緑地帯にドクダミが密生している。毎年きれいに草刈りが行われているが、毎年たくましく生えてくる。それを毎年篭いっぱいに摘んでいる人がいるが、ドクダミ茶でも作るのだろうか。 ドクダミの名称は「毒矯み」(毒を矯める…

橋口五葉:画『虞美人草』の表紙にはその名の通り虞美人草が

我が町には、この季節になると道路脇の植え込み、公園、空き地など至る所にポピー(ナガミヒナゲシ〈長実雛罌粟〉の帰化種)と思われるこの花が咲き乱れ、喜ばれている…?? いや、迷惑がられている。 ケシというと、まだ熟していない果実の乳液からアヘンや…

木下杢太郎が描くかなめもちの美しい装丁『心の遠景』

木下杢太郎が与謝野晶子から『心の遠景』( 日本評論社、昭和3年)の装丁の依頼を受けた時のエッセイ「もちのうちではかなめもちが其葉の色が一番美しい。殊に春落葉する前に、暗示の古葉を着け、これに新芽の淡緑と壮葉の藍鼠とが交るのが、色取が好い。」…

タンポポ綿毛の装丁、深澤索一:装画、石坂洋次郎『雑草園』がいい

「タンポポの綿毛(わたげ)」というとロマンチックだが、胞子(ほうし)とよぶと理科の時間みたいだ。たしかにあったはずだが、振返るといつの間にかに消えてしまったはかない夢のように、風がさらっていく。 そんなタンポポの綿毛をモチーフにした装丁は珍…

展覧試合スコアカードなど完全複製物が14袋とじ込『長嶋茂雄』

新しいクライアントが事務所に来訪してくれた。その手土産に『長嶋茂雄』(産経新聞出版、2013年1月、13,800円、写真左)をいただいた。 偶然にも国民栄誉賞受賞が決まり8,000部も増刷したという。この本、タダで頂いたてしまったがタダモノではない。帯のコ…

ギボウシをモチーフにした木下杢太郎:装画、小宮豊隆『黄金蟲』

私の田舎では「ウリッパ」とよぶギボウシ(写真1)。これを漏斗(じょうご)のように逆さ円すい形に丸めて谷間の水を飲んだ記憶があり、見るたびにいつもなつかしい幼い頃の田舎の風景を思いださせる。 写真1》 私が古い装丁に興味を持ち始めたのも、このギ…

野いばらをあしらった装丁、中村研一:画、山本有三『女の一生』

この季節は、近所の住宅地を散歩しているだけでも沢山の花が見られて楽しい。写真左はちょっと花が大きいような気がするが、野いばらか? この花をあしらったと思われる装丁があったはずだが、たしか……中村研一:画、山本有三『女の一生』(中央公論社、昭和…

編集長・大佛次郎の受けが良かった木村荘八の挿絵

大衆文芸雑誌『苦楽』は、1923-1928年に直木三十五らによって発行されたプラトン社版(第1期)と、1946-1949年に大佛次郎を中心として発行された苦楽社版(第2期)がある。 鏑木清方;画「苦楽」昭和24年2月号表紙 鏑木清方の美人画が表紙を飾った苦楽社版「…

木村荘八『東京繁昌記』(岩波文庫、1993年)を読み始めたが、何となく図版が少ないような感じがして物足りないので、復刻本だが岩波文庫の底本のA4変形判国書刊行会版『東京繁昌記』(昭和62年)を購入。 まだ読んではいないが、手に持った時の重さがズッシ…

これを読めば永井荷風『濹東綺譚』がより深く理解できるのではないかと、滝田ゆう『寺島町綺譚(全)』(徳間文庫、2006年)を購入。舞台は太平洋戦争当時の玉の井(東京下町、寺島町にあった私娼街で、現在の墨田区東向島及び同区墨田付近)。最後は3月10日…

欲しかった「 別冊アルバム・銀座八丁」

木村荘八編著『銀座界隈』( 東峰書房、昭和29[1954]年)付録の「 別冊アルバム・銀座八丁」という銀座の表通り1〜8丁目までの建物の写真(鈴木芳一:撮影)を貼り合わせ3mもの経本折の冊子にしたパノラマ写真集が欲しくてネットで注文したが、なんと「…