2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

野上彌生子『眞知子』(文藝春秋新社、昭和22年9月初版)のい装本がいっぱい

『恩地孝四郎の業』(三省堂)に記載されている野上彌生子『眞知子』(文藝春秋新社、昭和22年9月初版)をみて、インターネットで購入したのが写真左の波のような模様の装丁だ。しかし、この装丁は『恩地孝四郎の業』で見たかぎりでは、小さな葉をたくさんあ…

『日本児童文庫』でも

著者の西村真治は、円本全集として知られる『日本児童文庫41』でも『発明発見物語』などを著している。もちろんこのときの装丁も恩地孝四郎。約15年前の執筆者たちスタッフが再度招集され、新たに制作された児童向けの百科全書というようなものである。本文…

継ぎ表紙と、銀泥刷に銀箔押し

表紙のデザインは、このシリーズの共通のデザインだと思うが、それにしては、手の込んだ豪華な装丁である。まず、背布、継ぎ表紙というのが、最近では殆ど行われなくなってきている。一般に上製本は芯紙に1枚の紙(または布)を貼って表紙ができるのだが、継…

昭和16年2月発行の恩地装丁本

『恩地孝四郎装幀作品目録」(『装本の使命』阿部出版)のデーター化がやっと終わり、今日は、出がけに架蔵書から1冊を無造作に取り出して持ってきた。西村真治『新日本児童文庫5 原始人から文明人へ』(ARS、昭和16年2月)の「はしがき」の文末に「昭和十五…

あの幾何学的な装丁はどこへ

恩地は版画でも、抽象的な作品を作ったり、具象的な作品をつくったりと、まるで時計の振り子のように行ったり来りを繰り返していた。恩地にとって、そうすることが美意識を醗酵させるのに適した方法だったのだろう。渋沢秀雄『あまから人生』(創元社、昭和2…

色の選択が秀逸

版画家なら、このようなことを日常茶飯事でやっているのだろうが、重ねたり抜いたりして、複雑な色を出しているのは味わいもあり、深みのあるデザインが出来る。ここに使われている3色の選択は、重ね合わせを考えた色の選択というよりは、3色のハーモニーを…

恩地には珍しい構成の表紙といえるだろう

表紙の模様は遠目には、スギナのように見えるが、何をモチーフにしたのかわからない。タンポポの種のように見える部分は鉄紺を、バックの蔭のような部分には利休茶のような色を使っている。背のタイトル部分はさらにもう一色カキ色を使い、鉄紺のベタとカキ…

小山いとこ『高野』(中央公論社、昭和15年2月初版)

小山いとこ『高野』の表紙は、3色刷りで、今では3色刷りとか2色刷りの表紙は殆ど見られなくなった。そのような印刷をする事も少なくなってしまった。2色刷りや3色刷りには、デザーナーの腕の見せ所があって、なかなか面白かった。例えばオレンジ色と緑色で印…

もうひとつのブログ『書物楽会」は「装丁楽会」としてhttp://zousyohyou.exblog.jp/に移転

創設以来約10ヶ月で50000件を越すアクセスをいただきました「書物楽会」は、無料で掲載出来る写真掲載のキャパシティをオーバーし、大きな写真を掲載することが出来なくなり、より大きな容量を用意しているexblogに移転することに致しました。今まで同様に、…