2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

樋口紅陽「ひらかなお伽話」《文祥堂、大正15年)の表紙を描いた画家の○の中に「甫」のこのサインは見覚えがあるが誰のものかは思いだせない。私のパソコンに保存してあるデーターから「甫」の字のつく名前を検索してみると「森白甫」「野田九甫」「小寺鳩甫」が見つかったが、何れも違うような気がする。今回「本の手帳」3号の「落款解読事典」では五十音順で1頁に15人をイラストとともにサインを並べたが、実際にサインを探す時は「甫」の字からではなく、サインの画像から探すことが多いので、本当は1頁に200個くらいのサインが並んで

昨日は100歳で現役挿絵画家・中一弥さんのご子息でもあり、『カディスの赤い星』で直木賞を受賞した作家の逢坂剛さんのインタビューに行ってきた。同行した星恵美子さんや濱野彰親さんが思わず涙がでそうになったという親子競演などの良い話を聞かせていただくことができた。一つの質問に対して5〜10分くらい丁寧に答えていただきインタビューアーとしてはとても助かりました。画像は、親子コラボレーションの装画:中一弥、逢坂剛『重蔵始末(四)嫁盗み』。

「作家・逢坂剛がみた挿絵」(「粋美挿画」3号)掲載頁の一部。

画像左「週刊朝日」大正14年に古家あらた(ふるや あらた)のサインを見つけたが、かつて画像右「蝋人形」(昭和9年)に古家新(ふるや しん)のサインがあったのを思いだし並べてみた。画風からはとても同一人物とは思えないのだが、どちらの経歴も「古家新(1897〜1977)兵庫県明石に生まれる。1920年 京都高等工芸学校卒。1921年 朝日新聞社学芸部に勤務、『週刊朝日』の表紙画や挿絵等の制作を行う。……」とあった。やはり同一人物だったか。

久しぶりに事務所に行った。郵送されてきた仕事が届いていて、危うく仕事を一つ逃すところだった。資料をかたずけていたら大正から昭和初期にかけての大判のグラフ誌をたくさんストックしたファイルが出て来た。その中から1冊、何とも妖艶ではないが不気味でもない不思議な高橋成薇(生年不詳–1994):画「週刊朝日」(大正14年3月号)を紹介しよう。成薇は昭和5年、中村貞似と結婚、その後は制作をしていないようだ。画面右下のサインが背景に溶け込んでおり、取り出すのが大変だった。