2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

巻末広告に恩地の名前が! 

しかし、この本をよく眺めてみると、巻末広告に『ジョン・ワナメーカ 人及びその事業』、『ハーバート・フーヴァー 大棟梁となるまで』、『ヘンリ・フォード 人及びその事業』の3点が紹介されている。これ等3冊には、運良く? 「恩地孝四郎装幀」との小さな…

『マーシャル・フィールドと世界一の大商店』(改造社、昭和4年11月初版)

誰が見ても恩地の装丁に間違いないと思えるが、この本には装丁者の名前が記されていない。恩地は装丁にモノグラムを入れないので、作品集めをさらに難しくしている。『恩地孝四郎装本の業』にも記されていないので、恩地の装丁であることを確認する術がない。…

編者の親切か?

好意的に考えれば、この本の編者は、やり甲斐のある仕事を残しておいてくれたのかもしれないな。装丁には、図案化されたおしゃれな飾りを使ってはいるが、今一つ、前衛美術を取り入れられないでいた時期の装丁で、震災後の恩地の創作の系譜を辿るには、貴重…

吉田絃二郎『一人歩む』(改造社、大正13年) 

『恩地孝四郎装本の業』に記載されていない恩地の装丁本を探し始めたら、以外と次々に出てくるものである。先日高円寺で吉田絃二郎『一人歩む』(改造社、大正13年1月初版発行、大正15年20版)を函カバー無しだが200円で購入した。『恩地孝四郎装本の業』装…

恩地孝四郎装丁『二つの太陽』(新生堂、昭和6年)

恩地孝四郎の装本を集めるのに、恩地孝四郎編『恩地孝四郎装本の業』(三省堂、昭和57年)年を参考にしている。いずれ、恩地孝四郎装本年譜を作るのに、この本に記載されていない本を補充して、もっと完成度の高い年譜を作りたいと思っている。 さしあたって…

東京堂の佐野さんから頂いた5000円の図書券を使って、もちろん東京堂で

八木福次郎『書痴 斎藤昌三と書物展望社』(平凡社、2006年、装丁:代田奨)を購入してきた。まだ読んではいないが、以前から『古書通信』の樽見さんからこの本が発売されることを聞いて知っていたので待ち遠しかった。 この本は、「日本古書通信」に平成15…

清宮彬装丁、中村亮平『聖者の生活 荒野之光』(洛陽堂、大正10年)

著者はあまり人気がなかったのであろうか、倉田百三が「序にかえて」を16ページも書いて、まるで共著のようになっている。その後に48ページ(24カットの写真)もの口絵が続き、その後にやっと6ページの著者前書きが出てくる。目次はさらにその後で、70ページ…

白水社の社員総出で配ったあの広告マッチが

「東郷青児のコクトー『怖るべき子供たち』は話題になり好売行をしたが、東郷訳のデコブラ『恋愛株式会社』は、白水社では前代未聞の派手な宣伝をやった。『恋愛株式会社』のラベル・マッチをつくり、社員が総出して銀座街頭で「一株いかがですか」と配った…

これがあの頴川政由紀(江川書房の江川正之)に関わりのあるマッチか!

さっそくパラパラとめくっていたら、なんとあの白水社で頴川政由紀が編集をやっていたころに、「フランス語ものだけでは対象読者が少ないから売り上げが延びない。文芸書部門を開拓しようということで、江川正之(*頴川政由紀)という編集者に命令し七〇%…

青木康彦さん、斎藤昌三『日本好色燐票史』をありがとうございます

一昨日、青木さんから「ゲスナー賞のお祝いに何を送ろうか考えていましたが、大貫さんのホームページを見たところ斎藤昌三の『日本好色燐票史』を手に入れたいとありましたので、もし必要でしたらお祝いにプレゼントします。」とのメールがあり、「そんな高…

明星と白馬会のコラボレーション

黒田清輝率いる白馬会と、与謝野晶子、鉄幹の主宰する「明星」、つまり美術と文学が手を取りあって、新たな美術運動を起こそうとした事を立証する、象徴的な作品といえる。その後、美術と文芸が手を携えて本を作るという、同様のコンセプトで「白樺』や『ホ…

ホトトギスの創刊

俳句雑誌「ほととぎす」は明治30年(1897)1月15日、海南新聞にいた正岡子規の友人柳原極堂の手により一部六銭、発行部数300部で刊行された。発刊の目的は正岡子規が提唱する俳句革新の援助で、明治31年には柳原極堂から高浜虚子へと受け継がれ、発行も東京へ…

白樺の創刊

『白樺』は、明治43年(1910年)に、学習院出身の青年たち10数名によって創刊された、文芸・芸術雑誌。白樺派の主な作家には武者小路実篤、志賀直哉、有島武郎、倉田百三、里見?、柳宗悦らがいる。武者小路は思想的な中心人物であったと考えられている。多く…

黒田清輝がそそのかしての誕生か?

芳賀徹はカルタ製作のきっかけについて『みだれ髪の系譜』に「黒田が二人の書生にそそのかしたのであったかもしれない。それがまた多分黒田の口きき、晶子自身の雑誌に紹介されることとなったのでもあろうか。」と推察している。写真の右の2枚が中澤の作であ…

初めて目にする杉浦非水、中澤弘光「みだれ髪かるた」

『みだれ髪かるた』は明治37年正月号の『明星』別刷り四六倍版の1ページに、原寸大と思われるタテ8.3×ヨコ6.0cmの四枚が複製掲載された。写真は芳賀徹『みだれ髪の系譜』(美術公論社、昭和56年)より転載した中澤弘光、杉浦非水「みだれ髪かるた」(『明星…

『みだれ髪』の装丁の影響もみられる

「杉浦非水略年譜」(『杉浦非水写生帖』光村推古院、昭和53年)によれば実際に制作されたのは明治34年だったようだ。中澤弘光、杉浦朝武(つとむ)の二人の合作になる多色刷り石版画。アールヌーボー様式を取り入れた藤島武二の装丁で、与謝野晶子『みだれ…

杉本一文さんに銅版画を薦めたのは私です

今では銅版画家としても知られている杉本一文さんだが、かつて私が勤めていた頃に一緒だったのだから、もう30年以上のつきあいになる。杉本さんに銅版画を薦め、蒲地清爾さんを紹介したのは私であるのというは、少し自慢できるかな。

巻頭言も身内で

巻頭言には、田中栞さんが「本と蔵書票」2ページを書いてくれた。ここにも「紙魚の手帳」36号特装本(紙魚の手帳社、2006年1月、4000円+税)にオリジナル銅版画蔵書票を寄稿してくれた林由紀子さんの作品など7点が掲載されている。田中さんも杉本さんもいわ…

蔵書票をふんだんに配置した「図書設計64」

日本図書設計家協会というデザイナーとイラストレーターで構成されている団体の会報である「図書設計64」(日本図書設計家協会、tel.03-3292-5170)が、昨年暮に刊行された。表紙は横溝正史の文庫本の装丁で知られる杉本一文さんの銅版画蔵書票を使わせてもら…