2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

関東大震災を境に、非水の画風は大きく変化するのがよくわかる。

杉浦非水:デザイン、「大阪之三越」(大正15年) 杉浦非水:デザイン、「大阪之三越」(大正15年) 杉浦非水:デザイン、「大阪之三越」(昭和2年) 杉浦非水:デザイン、「大阪之三越」(昭和4年)

「三越」「三越タイムス」「大阪之三越」を一堂に並べてみると、非水の画風の変遷が一目瞭然にわかる。

杉浦非水:デザイン、「三越タイムス」(大正元年) 太い線で輪郭をとる「うどん」様式をみてとることができる。 杉浦非水:デザイン、「三越タイムス」(大正3年) アール・ヌーボーの影響をほとんど見ることは出来ない。 杉浦非水:デザイン、「大阪之三越…

非水とアール・ヌーボーについて、山名文夫は「……氏の仕事として忘れられないのは三越のハウスオーガンの表紙デザインやカットである。

氏のデザインを語る人は、ただちに、欧州装飾美術の新傾向であったアール・ヌーボー様式を引き合いに出すのであるが、そしてまたその様式の洗礼を受けたことはたしかとしても、必ずしもその追従者でなかった。氏のデコラチーブ・トリートメント(単化手法)…

2010.9.28 15:00新宿の空は思った通りに、DoCoMoビルの上のほうを雲で隠していた。

2010.9.28 15:00新宿の空 2010.9.28 15:00新宿の空 私はときどきこの場所にこの風景を眺めるためにだけ行って癒されています。うわ〜、こんな風景が東京にあるなんて……とおもいませんか? 四畳半神話大系 第2巻(初回限定生産版)[Blu-ray]出版社/メーカー: …

杉浦非水は、1908(明治41)年東京中央新聞に在籍したまま、三越呉服店に嘱託として入社する。日本初の百貨店(デパートメントストア)であり、三井財閥の礎を築いた企業である。非水はこの三越呉服店(現三越百貨店)を舞台として、明治末期から大正、昭和にわたって活躍をし、時代を代表するデザイナーへと成長していく。

杉浦非水:デザイン、「中央新聞週報 ホーム」(1907(明治40)年4月) 杉浦非水:デザイン、「中央新聞週報 ホーム」(1907(明治40)年5月) 杉浦非水:デザイン、「中央新聞週報 ホーム」(1907(明治40)年5月) 杉浦非水:デザイン、「中央新聞週報 ホ…

4月に実践女子学園生涯学習センターで90分3回講演をした「美しい本の話─装丁、さし絵、製本─」が、また11月の毎水曜日、10日、17日、24日(いずれも15:00~16:00)に開催されることになった。講演内容は前回とは違う内容でお願いします、といわれ、 13:45CommentsAdd Star

・装丁のパイオニア杉浦非水とアール・ヌーボー ・洋画家たちが美しいさし絵を運んできた ・安さだけではない美しさも備えた円本全集 の3つのテーマで講演することになった。 毎回たくさんの本と映像を使って、マニアックで楽しい講演にしたいと思っておりま…

事務所にある本を毎週100冊ずつリサイクルに出そうと決め、今週で3回目になる。ほぼ私の身長3人分が処分されることになる。そのせいか、玄関口まで押し寄せていた書物の圧迫感はなくなり、どことなく部屋全体が広くなってきたようにも感じるようになってきた。ここに引っ越してきてからそろそろ35年にもなる。溜まりに溜まった資料は、未練を捨てるにも時間がかかる。

資料の処分は、苦痛も伴うが、たまには楽しみもある。今日は、いつ購入したのかさえも覚えていない、写真左:「ユリイカ」(書肆ユリイカ、1958〈昭和33〉年4月号)、写真右:「ユリイカ」(書肆ユリイカ、1959〈昭和34〉年4月号)が出て来た。 表紙のデザイ…

1902年に(明治35)年大阪に三和印刷所が設立され、杉浦非水は黒田清輝の推薦で図案部主任に採用される。翌1903年大阪で開催されることになった大阪第5回内国勧業博覧会に向けて雑誌「三十六」が刊行され、非水は表紙デザインを担当することになる。

杉浦非水;装丁、「三十六年」1号(明治35年) アール・ヌーボー風にアレンジしたカキツバタの連続模様と、欧風建造物の博覧会会場正門を赤のシルエットを組み合わせてあしらった図案は、斬新で欧風主義の時代の気風にも相まって評判が高かった。 杉浦非水;…

非水は中央新聞社に6年間在籍し、「中央新聞週報ホーム」や連載記事をまとめて出版した「富士山スケッチ」、雑誌の表紙や口絵、装丁デザイン等を広く手がけていた。その他、写真報道のない時代であったので、事件や相撲などの報道用スケッチを沢山描いている。

杉浦非水:画、『富士山スケッチ』(金尾文淵堂、明治41年) 杉浦非水:画、『富士山スケッチ』(金尾文淵堂、明治41年) 杉浦非水:画、『富士山スケッチ』(金尾文淵堂、明治41年) 杉浦非水:画、『富士山スケッチ』(金尾文淵堂、明治41年) 富士山の八…

1897(明治30)年、杉浦非水が入学した東京美術学校日本画選科には、土佐派、狩野派、円山派があり、非水は純日本式の写生を基本とする川端玉章が指導する円山派だった。

当時の日本画はヨーロッパ近代美術の影響を受け、岡倉天心を中心として新日本画運動がおきており、特に1898年に東京美術学校長を辞任して日本美術院を創設した天心のもとには、横山大観、下村観山、菱田春草など有力な新進作家たちが集っていた。彼らの積極…

4月に実践女子学園生涯学習センターで90分3回講演をした「美しい本の話─装丁、さし絵、製本─」が、また11月の毎水曜日、10日、17日、24日(いずれも15:00~16:00)に開催されることになった。講演内容は前回とは違う内容でお願いします、といわれ、

・装丁のパイオニア杉浦非水とアール・ヌーボー ・洋画家たちが美しいさし絵を運んできた ・安さだけではない美しさも備えた円本全集 の3つのテーマで講演することになった。 詳しい内容、お申し込みは http://www.syogai.jissen.ac.jp 0120-511-880へ。 77…

「ホタルノヒカリ」のホタル・綾瀬はるかの巨大な風船(発砲スチロール)?が

新宿・アルタスタジオ前に突如現れた巨大なホタル・綾瀬はるか像。通勤途中におもわず「アッ、ホタルだ!」とばかりに撮影してしまった。あの天然ぶりが何とも愛おしく可愛かったです。

毎週、自宅と事務所にある本を100冊処分

事務所が狭くなってきてしまったので、本棚に入る分だけを残し、はみ出している本は毎週100冊づつ処分することにした。本棚からはみ出している本の方が圧倒的に多いのが問題になっている。100冊を積み重ねるとほぼ身長くらいになる。 リサイクル品収集の日が…

非水が手がけた最初の装丁は?

非水は夏目漱石「坊ちゃん」で知られる松山中学を卒業後、1897年に上京し、父の友人である医師・岩井禎三野家に寄宿し、岩井の患者であった西洋木版画家・合田清の紹介で川端玉章の天真画塾に入門した。同年の9月、東京美術学校日本画家選科を受験し役7倍の…

杉浦非水(1876‐1965)、翠子(1885〜1960)夫妻といえば、今日でも知る人ぞしるオシドリ夫婦。非水は当代きってのデザイナー、翠子は女派歌人として活躍。二人ともにモダンボーイ(モボ)、モダンガール(モガ)ともてはやされ大正・昭和初期に活躍した。

●杉浦翠子は明治37年(1904)4月に19歳で結婚。夫・非水の友人である北原鉄雄を介して北原白秋に、さらに斉藤茂吉に師事。大正5年(1916)、当時、写実主義を掲げ、斉藤茂吉、島木赤彦、中村憲吉、古泉千樫らを擁して歌壇の主流になりつつあったアララギに入…

偶然だが、11月10日(水)15;00〜16:00に開講される実践女子学園生涯学習センターでの講演テーマが、「装丁のパイオニア杉浦非水とアール・ヌーボー」を準備しているが、話の内容は、アール・ヌーボー様式をいち早く採り入れた「みだれ髪かるた」や、アールデコ様式を採り入れた『現代日本文学全集』そしてモボ・モガといわれたオシドリ夫婦の妻・「翠子の作品を飾った装丁」の話をしようと思っている。

杉浦非水:画、「みだれ髪かるた」(「明星」の口絵として1904(明治37)年に掲載) 杉浦非水:装丁、小酒井不木『三面座談』(京文社、大正14年) ヨーロッパ旅行から帰国して間もなく制作された装丁で、関東大震災前の作品にはないシャープで繊細で洗練さ…

4月に実践女子学園生涯学習センターで90分3回講演をした「美しい本の話─装丁、さし絵、製本─」が、また11月の毎水曜日、10日、17日、24日(いずれも15:00~16:00)に開催されることになった。講演内容は前回とは違う内容でお願いします、といわれ、

・装丁のパイオニア杉浦非水とアール・ヌーボー ・洋画家たちが美しいさし絵を運んできた ・安さだけではない美しさも備えた円本全集 の3つのテーマで講演することになった。 詳しい内容、お申し込みは http://www.syogai.jissen.ac.jp 0120-511-880へ。77講…

先日「美の巨人たち 日本のミュシャ…大正浪漫の色彩」と云うタイトルのテレビ番組があった。入門篇としては理解しやすく構成されていたと思うが、私の期待は見事に外れた。というのは、非水の本領発揮された作品は「みだれ髪かるた」やアールデコ様式を採り入れた『現代日本文学全集』、そして妻・翠子の作品を飾った装丁などにあると思っているからだ。その辺には全く触れられなかったのはちょっと残念でもあった。それだけ非水の活躍した世界が広かったということでもある。

今回紹介するのは岩田専太郎:画、柴田錬三郎「貧乏同心御用帳」(「週刊読売」昭和44年10月)だが、専太郎が昭和49年に亡くなったのでそれ以前の雑誌、と云うことだけを頼りにして、あてずっぽうで古書市に並んでいる数多の雑誌の中からこれを見付け出すのは結構大変なんです。ビニールに封入されセロテープで口を密封してあるとなるとがっかりさせられる。2冊や3冊見るだけなら、何とか店主の目を盗んでテープをはがしてしまうのだが、50冊100冊とあると、そんなことやっている時間は無駄だし、第一そんなに根気がない。

新宿サブナードの古書市が入れ替えになったから覗いてみたら、週刊誌がやはりビニールに封入されていたので、今回は買わずに諦めた。掲載したのは先週末に購入した九曜書房さんのもの。ビニールに入っているが、上部はテープで閉じていなかったので内容を確…

昨日、帝国ホテルで開催された第56回江戸川乱歩賞授賞式にいってきた。受賞作は、8回連続応募し続けたという35歳の横関大氏の「再会のタイムカプセル」(応募時のタイトル)で、タイトルは『再開』に改め8月15日に上梓された。

応募総数387篇の中から、7名の予選委員によって ・川瀬 七緒「へヴン・ノウズ」 ・伊兼源太郎「ベタ記事」 ・藤井 貴裕「警察と戦うという選択」 ・伊予原 新「ルカの方舟」 ・横関 大「再会のタイムカプセル」 の5篇が選出され、これ等の作品の中から、5月1…

昨日アップした、空き家になったままの磯崎新が設計した建造物が気になって再度訪ねてみた。

敷地内に踏み込んで、もう少し建物に近づいてみたら、空き家かと思っていた超モダンな建物には、猫の住民がいた。驚かさないように少しづつ近づいて撮影した。入り口附近に積もった落ち葉が淋しさを増幅させている。これからの「正義」の話をしよう――いまを…

新宿サブナード古書市は1ヶ月間も続くので、通勤で通る度に購入していたら生活が成り立たなくなる。かといって買わないで通過するのも、何か忘れ物でもしてしまったかのようで難しい。ということで、今日は安価な「日曜報知」(報知新聞社、昭和8年)を購入した。岩田専太郎が戦前に描いたさし絵、森下雨村「チョコレートの函」が掲載されているのに魅せられてつい購入してしまった。

森下雨村は、英文科卒後、やまと新聞記者となるが、長谷川天渓の勧めにより博文館に入社。「冒険世界」の編集後、大正9年「新青年」に改題、創刊編集長を担当。探偵小説・江戸川乱歩を世にだした雑誌「新青年」初代編集長として知られている。1916年頃から「…

2010.9.9 昨日の雨が嘘のように新宿は快晴。暑さも戻ってきたが、風はさわやかな感じがした。

2010.9.9 3:00新宿四谷4丁目。高層ビルが増えて、地上から見える空がだんだん狭くなっている。 2010.9.9 3:00新宿四谷4丁目からNTT DoCoMoビルを望む。上記写真のビルの入り口附近にサルスベリの花が咲いていた。別に珍しくはないが、都心に咲いているとホッ…

堂昌一氏の展覧会で見た新撰組のさし絵原画に魅かれて、帰宅してから、印刷物が手に入らないものかと探してみたら、森村誠一『新撰組』全3巻(「カドカワノベルス」平成5年)にさし絵がついていることがわかり早速購入した。

堂昌一:装画、森村誠一『新撰組』全3巻(「カドカワノベルス」平成5年) 各巻に6〜7点の1頁大のさし絵が入っている。この中の1点に気になるさし絵を見付けた。堂昌一氏のお気に入りの構図なのだろうか、前景の土瓦の間から事件の成り行きを高みの見物とでも…

パワーMacの電源が1回で入らなくなったので、いろいろとテストをくり返している。今日はMac本体だけはたこ足配線になっていた電源から取らずに、壁のコンセントに直接つないでみた。スキャナーやモニターの位置を変えたりして、汗だくになってしまったが、果たしてこれで機嫌を直してくれるのか?

2:50現在、新宿にもバケツをひっくり返したような大雨が降っている。

新宿花園町、靖国通りあたり 新宿・大木戸坂下附近 新宿・大木戸坂下附近 ポケットモンスター ブラック出版社/メーカー: 任天堂発売日: 2010/09/18メディア: Video Game購入: 104人 クリック: 1,399回この商品を含むブログ (352件) を見る四畳半神話大系 第1…

表紙画は岩田専太郎が特別に張りきって挑戦したのではないだろうか、絵がいい。なぜなら専太郎は上野の画家への憧れがあり、今回入手した「サンデー毎日」の表紙は、小磯良平や宮本三郎などの画家の絵が毎号使われており、さし絵画家である岩田専太郎がそんな画家たちに混じって上野のお山の画家と対等に肩を並べることが出来る場でもあるのが表紙の仕事であり、専太郎は特別の思いを寄せていたのではないかとおもわれる。

岩田専太郎:画、「サンデー毎日」(毎日新聞社、昭和25年1月15日号) 49歳の作品。 岩田専太郎:画、「サンデー毎日」(毎日新聞社、昭和27年1月6日号) 宮本三郎:画、「サンデー毎日」(毎日新聞社、昭和25年1月1日号) figma けいおん! 中野梓 制服ver.…

通勤途中に、新宿サブナード古書市に寄ってみた。岩田専太郎関連の雑誌2冊を購入。1冊は「週刊文春」。これは岩田専太郎がさし絵を連載していた「西海道談綺」が掲載されており、昭和49年2月に連載の途中で亡くなってしまい、堂昌一に引き継がれた。といういわく付きの連載小説さし絵がはいっている。そんな岩田専太郎描く「西海道談綺」と堂昌一描く「西海道談綺」を集めている。古書市には僅か数冊しかなかった「週刊文春」だが、そんな中にどんぴしゃり、探している号があるとは、やっとおいらにも運気が巡ってきたかな、なんておもわせる嬉

岩田専太郎:画、松本清張「西海道談綺」(「週刊文春」昭和47年5月号)71歳の作品。 堂昌一にとっては降って湧いたような大きな話であろうが、この絵の不思議なイメージを引き継ぐにはかなり大変な決断が必要だったのではないかと推察する。それというのも…

『白書出版産業2010 データとチャートで読む出版の現在』(文化通信社)刊行。歴史的な転換点にある出版産業を、基本的な枠組みから現在の動向や課題まで、73項目にわたって日本出版学会会員が図表とチャートを交えて解説。

これからの出版メディアを考える上で必携の基本図書。 出版産業の産業構造、組織、出版社、取次、書店、読者、法制、海外など網羅的に解説しているので出版・メディア教育の教科書、参考書にも最適。 『白書出版産業2010 データとチャートで読む出版の現在』…

堂昌一が描いた小説のさし絵はこれが今のところわかっている一番古いさし絵だ。

堂昌一:画、戸川貞雄「私刑」(「読切小説読物」昭和27年12月号) 堂昌一:画、戸川貞雄「私刑」(「読切小説読物」昭和27年12月号) 堂昌一:画、戸川貞雄「私刑」(「読切小説読物」昭和27年12月号)