新宿サブナードの古書市が入れ替えになったから覗いてみたら、週刊誌がやはりビニールに封入されていたので、今回は買わずに諦めた。掲載したのは先週末に購入した九曜書房さんのもの。ビニールに入っているが、上部はテープで閉じていなかったので内容を確認することが出来た。冊子を保護するのは判るが、客にとっての都合も考えてくれないとね。
岩田専太郎:画、柴田錬三郎「貧乏同心御用帳」(「週刊読売」昭和44年10月)
最初の見開きに記載されているこのような絵が、どんな場面のさし絵として描かれたのか、読み進めていくと5ページ目に美人三人が姿を消してしまいその変わりに金無垢の仏像が送られたという場面があった。「…『女房のやつ、もう永久にもどって来ぬ、と判った』悲痛な面持ちで、三次郎は、告げた。…三次郎は、わきに置いた包みものをひらいた。現れたのは三寸ばかりの高さの仏像であった。金色であった。喜八郎は手に把っ手みて、ずしりとした重さに、『これは金無垢だな』『そうだ。それを女房はおのが身とひきかえにわしら父子にのこして行った』…」
女房が仏像をおいて姿をくらましてしまった場面のさし絵のようだ。
「金子をのこすなら合点できるが、こんな仏像をのこすとは、どういう料簡なのか?」「恐らく……、杉江さんの身柄を買った対手がたは、小判を持っていなかったのだろう。」
と謎めいた話のさし絵で、謎の部分を表現しようとして、写生風ではなく、想像画のような表現をとったのだろう。
岩田専太郎:画、柴田錬三郎「貧乏同心御用帳」(「週刊読売」昭和44年10月)
この2点では、みんなが興味を持つのは上の絵だと思うが、私はしたの絵に魅かれてこの1冊を購入した。黒く塗りつぶした手前の柵と、光景に描かれたパース(遠近法)の大胆さは、これぞ岩田専太郎の真骨頂。とはいうものの、この絵は何の場面なのかは、文面からは判断が難しかった。
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