偶然だが、11月10日(水)15;00〜16:00に開講される実践女子学園生涯学習センターでの講演テーマが、「装丁のパイオニア杉浦非水とアール・ヌーボー」を準備しているが、話の内容は、アール・ヌーボー様式をいち早く採り入れた「みだれ髪かるた」や、アールデコ様式を採り入れた『現代日本文学全集』そしてモボ・モガといわれたオシドリ夫婦の妻・「翠子の作品を飾った装丁」の話をしようと思っている。


杉浦非水:画、「みだれ髪かるた」(「明星」の口絵として1904(明治37)年に掲載)



杉浦非水:装丁、小酒井不木『三面座談』(京文社、大正14年
ヨーロッパ旅行から帰国して間もなく制作された装丁で、関東大震災前の作品にはないシャープで繊細で洗練された印象が強くなった。



片岡鐵平訳、エクトル・マロー『あゝ故郷』(文洋社、昭和2年10月)



杉浦非水:装丁、『現代日本文学全集』(改造社、大正15年〜)



杉浦非水:装丁、杉浦翠子『創作愛しき歌人の群』(福永書店、昭和2年3月)


大正12年11月(非水46歳)ヨーロッパへ洋行。そこにはもうアール・ヌーボー様式を見い出すことは出来なかった。
大正13年9月ベルリンにて、関東大震災の報を受け、予定を縮小して帰国。この時に蒐集してきたポスター300種などが、その後の活動に大きな影響を与える。

2009年11月、宇都宮美術館に展示された非水が欧州旅行で蒐集してきたポスター群(美術館の許可を得て撮影)


2009年11月、宇都宮美術館に展示された非水が欧州旅行で蒐集してきたポスター群(美術館の許可を得て撮影)