堂昌一氏の展覧会で見た新撰組のさし絵原画に魅かれて、帰宅してから、印刷物が手に入らないものかと探してみたら、森村誠一『新撰組』全3巻(「カドカワノベルス」平成5年)にさし絵がついていることがわかり早速購入した。



堂昌一:装画、森村誠一新撰組』全3巻(「カドカワノベルス」平成5年)


各巻に6〜7点の1頁大のさし絵が入っている。この中の1点に気になるさし絵を見付けた。堂昌一氏のお気に入りの構図なのだろうか、前景の土瓦の間から事件の成り行きを高みの見物とでもいうような大胆な構図で、読者をのぞき見しているようで、楽しい気持にさせる。


堂氏が意識していたかどうかはわからないが、小村雪岱は手前の蓮の葉の間から人物が見え隠れする、というような構図のさし絵を描いていた。



堂昌一:画、岡本綺堂『影を踏まれた女』(「光文社時代小説文庫」昭和63年)



堂昌一:装画、森村誠一新撰組』下巻(「カドカワノベルス」平成5年)


堂氏のさし絵の中で、私が気に入っているのは、下記のさし絵のように大勢の人物が描かれている絵だ。さし絵が本当に好きで、大変なのがわかっていてもつい好みのスタイルに描いてしまう。この辺に画家としての力量のようなものを感じるからだ。