編集長・大佛次郎の受けが良かった木村荘八の挿絵

大衆文芸雑誌『苦楽』は、1923-1928年に直木三十五らによって発行されたプラトン社版(第1期)と、1946-1949年に大佛次郎を中心として発行された苦楽社版(第2期)がある。

鏑木清方;画「苦楽」昭和24年2月号表紙


 鏑木清方美人画が表紙を飾った苦楽社版「苦楽」には、巻頭人気企画「名作絵物語」があり、伊東深水、中沢弘光、小杉放庵、川端龍子など錚々たるメンバーが代わる代わる挿絵を担当したが、木村荘八は35回のうち「たけくらべ」「牡丹灯籠」「雁」など最多の6回の挿絵を担当した。編集長・大佛次郎の受けが良かったのだろうことは、大佛の横浜を背景とした作品約30点のうち「霧笛」「幻燈」「その人」「花火の街」など管見する限り7点の作品の挿絵を荘八が担当していることからもうなずける。

木村荘八:画/大佛次郎「霧笛」(「苦楽」昭和24年2月号)



木村荘八:画/樋口一葉たけくらべ」(「苦楽」昭和21年11月号)