清水良雄:画「赤い鳥」表紙のトチノキの木陰が涼しそう

トチノキホウノキは、どちらの葉も時には40〜50cmくらいになり、枝の先端部分に5〜7枚の葉を手を広げたように付ける。その葉は共に山一番に大きく目立ち良く似ていて間違いやすい。生活との関連では栃餅(とちもち)しか思いだせないが、マロニエと呼ばれるとおしゃれな感じがする街路樹もトチノキだ。JRお茶の水明治大学前にマロニエの並木があり、さすがは都心の大学だけあって並木にもセンスがある。

トチノキの花


 清水良雄:画、「赤い鳥」(復刊6巻2号、昭和8年8月号)の表紙にもトチノキが描かれているが、大きな葉が作る木陰での憩いは涼しく心地よさそうだ。


 清水良雄(1891−1954年)は、1918(大正7)年、親友の丸尾彰三郎の紹介で鈴木三重吉と出会い、鈴木三重吉『黄金鳥』の挿絵で童画家としてのスタートを切る。また、鈴木三重吉が創刊した童話雑誌「赤い鳥」においても創刊号(大正7年6月)から表紙絵・口絵・挿絵を描いている。特に表紙絵は全196冊のうち163冊描き、この雑誌のイメージを視覚的に広めるという大きな役割を果たした。三重吉は清水の人間性とその絵に絶対的信頼を寄せ、「赤い鳥」創刊は「清水君がいて挿絵に安心できるから、その気になった」と語っている。この他、『コドモノクニ』『子供之友』『キンダーブック』でも活躍。昭和2年武井武雄らと日本童画家協会を結成する。