竹久夢二『童話集 春』(研究社、大正15年)


夢二のこのタイトル文字は明らかに装飾文字を意識していたものと思われるが、発表の時期としては装飾文字のブームよりもかなり早い時期であり、時代の先端を走っていた夢二の目は西欧の新しい文化や美術に照準を合わせていたことが分かる貴重な作品といえる。




叙情画家といわれる夢二だが、常に最先端の美術やデザインに反応し、自分の作品に取り入れ消化させていったあたりに、夢二の人気の秘密があるのではないだろうか。とにかく新鮮で新しく、何よりもそのことが刺激的だ。