田邊泰編集『装飾図案文字』(洪洋社、大正13年11月)



この本は、外国で作られた図案文字の紹介で、国内の作品は掲載されていない。昭和初期にブームとなる装飾文字の草分け的な、或は教科書的な存在の本である可能性が高く、各作品に製作者名が記されているのは資料的価値が高い。


原本となった書物の紹介がなされていないのが残念だが、ドイツ表現主義的な作品が含まれている事から、1910年以降1920年ころに編集されたものと思われる。






「はしがき」として下記のように記してある。
「……近代に至っても商標、書籍の装釘其他に頭文字を組合せた所謂組合せ文字(Monogram)なるものが、図案家の種々の試みの下に装飾的に大いに研究されつゝあるのである。本輯のものは最近の独逸に於ける組合せ文字装飾の収集で、中には古典主義的手法の認められるもの、又はセセッションの手法の窺われるもの、或は又表現主義的手法が自在に扱われてゐるもの等の何れも優秀なるものである。」と、紹介されている作品はドイツの作品であることが分かった。