関東大震災以降第二次大戦までの装丁は装飾図案文字の宝庫

装丁作品に、装飾図案文字が最もたくさん登場するのは関東大震災から第二次世界大戦が始まるころだ。装飾図案文字を取り入れていることが最も斬新であることの証明であるかのように当代のトップ装丁家たちが競って装飾図案文字を書物の題字に取り入れていた。どこかに書き方の基本ルールがありそうだが、みんな好き勝手でばらばらでなかなか見当たらないのが面白い。
写真は上から


・装丁:山口将吉郎『人と人』第4巻第2号(協調社、大正13年
・装丁者不明(すむ?)、大沼竹太郎『レコード音楽の解説』(十字屋楽器店、大正13年
・装丁:杉浦非水、鈴木善太郎『白鳥』(金星社大正13年
・装丁:小澤忠夫、『国際画報』6館5号(大正通信社、大正15年)
・装丁:恩地孝四郎、『日本児童文庫』(アルス、昭和3年
・装丁:恩地孝四郎小松耕輔『アルス西洋音楽大講座』第2巻(アルス、昭和4年
・装丁:佐野繁次郎、佐藤義亮編『現代猟奇尖端図鑑』(新潮社、昭和6年
・装丁:武井武夫、西崎大三郎『キンダーブック ミツバチノコ』(フレーベル館、書和13年)











見事なのは装飾図案文字だけではなく、挿絵もデザインも見ごたえがありますね。雑誌のロゴの製作者は装画家とは別だと思われますが、この時代のタイポグラファーは装丁家よりも市民権を得ていなかったとみえて、まだまだ名前が記されていることはありません。
ちょっと調子に乗って写真をたくさん掲載しすぎかな?


『現代猟奇尖端図鑑』の購入者だろうか、表3に書かれた署名までもがモダンな装飾図案文字でかかれていたのには驚いた。かなり手慣れていて見事だ。