ジョバンニとともに銀河鉄道に乗り込む同級生もカムパネルラ

ホタルブクロの名前の由来は、かつて火垂(ほたる)と呼ばれていた提灯(ちょうちん)に似ているからという説がある。「あめふり」とも呼ばれ、その名の通り、この花が咲き出したら、空梅雨(からつゆ)といわれていた東京にも雨が降り出した。そんなだからこの花は雨の中で鑑賞するのが一番似合うのかもしれなと思って、雨の中をホタルブクロ探しに出かけ、東大演習林の雨降る森の中で鑑賞してきた。


 日本に広く自生して古くから親しまれているだけに地方ごとの呼び名も多く、トーローバナ、チョウチンバナ、フクロバナ、ツリガネソウなどの別名がある。
 ツリガネソウは別名カンパニュラ。私はカンパニュラという言葉をフジテレビ系ドラマ『風のガーデン』挿入歌「カンパニュラの恋」(作詞:平原綾香/作曲:ショパン)で初めて知った。そういえば宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」で、ジョバンニとともに銀河鉄道に乗り込み、共に旅する同級生もたしか「カムパネルラ」だったが、同じ綴りではないのかな? 花の名前だとは知らなかった。

東逸子:画、宮沢賢治銀河鉄道の夜』(くもん出版 、1996年)



杉浦非水:画「ほたるぶくろ」(『非水百花譜』春陽堂、1920-1922年)


 わたしの田舎ではカッポカーラとよぶ。これ本当です。ツリガネソウの西洋種は「カンパニュラ」で、茨城県の方言と語源が同じではないかと思われるほどイントネーションが似ているのに驚いた。