高いところに咲く朴の花をモチーフにした深澤紅子:装画『辺境の食卓

朴葉には芳香・殺菌作用があるため食材を包んで、朴葉寿司、朴葉餅などに使われる。また、落ち葉となった後も、比較的火に強いため味噌や他の食材をのせて焼く信州名物『朴葉味噌』を焼く時使うことでも知られている朴葉だが、こんなに見事な大輪の花が咲くとは知らなかった。あまり花を見ることがないのは、花が咲くまでに13年はかかるといわれ高いところに咲くためであろうか。


 そんな高いところに咲く朴木の花をモチーフにした、深澤紅子:装画、太田愛人『辺境の食卓』(ヨルダン社、昭和51年)の表紙だが、どうやって写生したのだろうかと、余計なことに興味を持ってしまった。


あとがきに「宮沢賢治と一度だけ会ったことがあるという盛岡出身の深澤紅子さんがこころよく本書の装釘と挿画をひきうけて下さいましたので、予想以上の美しい本が出来ました。夏の二ヶ月、軽井沢の故・堀辰雄氏の山荘に毎年滞在される深澤さんは、“野尻湖と軽井沢とでは植物もちがうでしょうから”と、二度も野尻湖にいらして、寸暇を惜しんで、時には雨の中でスケッチをしておられた姿を忘れることが出来ません。同郷のよしみを今ほどありがたいと思ったことはありません。」と記されていた。疑問は解決しないが、野尻湖まで行って写生したらしい事がわかったのでヨシとしよう。