不名誉な名前を付けられ可愛そうなヘクソカズラ

不名誉な名前を付けられ可愛そうなヘクソカズラ (屁糞葛)だが、葉を揉んで臭いをかげば納得せざるを得ない。臭そうな名とは異なり、薮の中に隠れるように咲く小さなその花はよく見ると可憐で輝くように美しい。


この気の毒な名前は、ひとえに悪臭のせいだ。悪臭の元凶はメルカプタンという揮発性のガスで、昆虫が嫌う成分(忌避物質)として機能する。これを植物体に大量に蓄えているので、葉を食べたり茎の汁を吸ったりする虫でさえもなかなか寄りつかないというわけだが、蓼喰う虫も好き好き、とはよくいったもので、ヘクソカズラヒゲナガアブラムシはこの悪臭成分をむしろ好んで食べ体内にため込んで外敵から身を守るというちゃっかり者もいる。


 「屁糞葛も花盛り」とは、 いやなにおいがありあまり好かれない屁糞葛でも、愛らしい花をつける時期があるように、不器量な娘でも年頃になればそれなりに魅力があるということだ、が、どんな時に使えば良いのか、使い方はかなりむずかしい。