白水社の社員総出で配ったあの広告マッチが

 
東郷青児コクトー怖るべき子供たち』は話題になり好売行をしたが、東郷訳のデコブラ『恋愛株式会社』は、白水社では前代未聞の派手な宣伝をやった。『恋愛株式会社』のラベル・マッチをつくり、社員が総出して銀座街頭で「一株いかがですか」と配ったが、売れ行きはさっぱりで失敗。(前掲)という、文章でしか出会ったことがなかったいわく付きのマッチラベルが、『日本好色燐票史』に掲載されていたのだから、驚いた。
 
よくぞ蒐集し掲載してくれた、と斎藤昌三に感謝!です。以前から、このマッチはどんなマッチなんだろうと、一度見たくて仕方がなかった燐票だったので、たとえ複製だろうが見ることが出来るとは思ってもいなかった。何から何まで、なんだか嬉しいことばかりのここ数日です。
 
*江川正之は江川書房を起ち上げてからの名前で、白水社では頴川政由紀を名乗っていた。