初山茂:装丁『小川未明童話全集』全5巻(講談社、昭和25年)の挿絵がすごい。揮毫しているのは、初山滋、武井武雄、川上四郎、村山知義、山路眞護、小川哲郎。初山滋の前扉や目次扉などの装丁の斬新さもさることながら、これらのモダンな挿絵家が代わるがわる挿絵を担当しているのだから、豪華さたるや押して知るべしだろう。小川哲郎というのは知らなかったが、どうも小川未明の御子息らしい。



初山茂:装丁、『小川未明童話全集』全5巻(講談社、昭和25年)



武井武雄:画、『小川未明童話全集』)講談社、昭和25年)第2巻巻頭口絵



川上四郎:画、『小川未明童話全集』(講談社、昭和25年)第3巻巻頭口絵


例えば、第3巻には1頁大の挿絵が38点も入っており、その内の4点がカラー挿絵だ。それぞれの挿絵家の描いた点数は、初山滋が13点、武井武雄が8点、村山知義が11点、川上四郎が5点、小川哲郎が1点で、挿絵がたっぷり入っているみごとな童話全集として構成されている。武井武雄初山滋が繰り広げる競演は、互いを意識して競い合っているかのように、どの作品を見ても見ごたえのある挿絵を寄稿している。



初山滋:画「月夜とめがね」(『小川未明童話全集』第3巻、講談社、昭和25年)



武井武雄:画「汽船の中の父と子」(『小川未明童話全集』第3巻、講談社、昭和25年)



初山滋:画「ある星たちの話」(『小川未明童話全集』第3巻、講談社、昭和25年)



武井武雄:画「遠くで鳴るかみなり」(『小川未明童話全集』第3巻、講談社、昭和25年)



初山滋:画「魚と白鳥」(『小川未明童話全集』第3巻、講談社、昭和25年)



村山知義:画「星と柱をかぞえたら」(『小川未明童話全集』第3巻、講談社、昭和25年)