かつて、小磯良平が描いた図鑑を持っているといって写真を送ってきた某大学のO教授からまたも「自慢……」として、6点の写真が送られてきた。『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年)と『日本の野鳥羽根図鑑』(世界文化社、1995年)がその図鑑だ。



絵:小磯良平



清水武美、梅林正芳『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年)



清水武美、梅林正芳『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年)



清水武美、梅林正芳『日本草本植物根系図説』(平凡社、1996年)


かなりマニアックな図鑑なので、いずれの図鑑も私は初めて目にする。それにしても「根」の図鑑とは一般には全く購読者はいないだろうに。ふだん目にすることのない世界を図示してくれたことには興味を魅かれ、その努力に感謝しますが……。偏執狂といったら失礼かも知れませんが、根の描き方へのこだわりには畏怖の念さえ抱かせるものがある。この絵を見ているうちに、身震いするほどのショックを受けてしまった。それは、偉大なものの前に立たされた時の絶望感というか敗北感というか、そのようなものかも知れない。私も一度でいいからこんな絵を描いてみたいと思い始めた。


それにしても15,291円もするこんな図鑑を眺めているO教授は何の必要があってっこの図鑑を買い求めたのだろうか?(興味はそっちかい!)専門とは全く関係なさそうだが。





笹川昭雄『日本の野鳥羽根図鑑』(世界文化社、1995年)



笹川昭雄『日本の野鳥羽根図鑑』(世界文化社、1995年)



笹川昭雄『日本の野鳥羽根図鑑』(世界文化社、1995年)




まだ羽根図鑑の方が、一般には需要がありそうだ。これは可なり面白そうだ。送られた写真を見ただけでも引きずり込まれそうだ。1匹の鳥の羽根を1枚ずつ丁寧に撮影している。


こちらも8400円もする本だが、教授は単なる図鑑好きのマニア? コレクター? モノマニア? 私もそうなので、他人のことを非難できないが。それにしても、いちいち感に障るところをついてくる奴だ。教授だか何だか知らないが、負けたような気になってチョット悔しく、腹が立ってきた。古本屋じゃあるまいに在庫合戦などしておらんワ。