装画:中沢弘光『新小説』(大正3年5月1日)
本文は、製本をばらして小説だけをまとめ、表紙には『新小説』の装画を切り取って合本の表紙に貼付けたようだ。しかし、ここに閉じられている本文は「白虹」のもののようだ。
この訳のわからない合本を購入しようと思ったきっかけになったのは、2枚の木版の口絵が入っていたからだ。1枚は絵:中沢弘光「杣の小屋」。真山青果「杣の小屋」の挿絵だったのだろう。
黒田清輝に師事していた事もあり、後期印象派の影響をとりいれた、ふくよかな女性とまぶしいばかりの日の光を感じる見事な表現は、ルノアールやボナールを彷彿させる。
もう一点の口絵は、鰭崎英朋『誕生地』。こちらは宙外『誕生地』の挿絵だと思われる。
この合本には、これらの他にもたくさんの挿絵が入っているので、訳のわからない本ではあるが、つい購入してきてしまった。