装丁:恩地孝四郎、小松耕輔『西洋音楽の知識』(アルス、昭和4年)
装丁:恩地孝四郎、一氏義明『西洋美術の知識』(アルス、昭和4年)
前衛美術の影響を取り入れた見事な装丁で、まさに「装丁は時代を映す鏡だ」の言葉通りの、美術史とも連動する貴重な装丁でもある。また明治末期に前衛美術と出会い、その斬新な思想と表現にのめり込んで制作を続けた恩地の成熟期に創作された、いわば完成品だからでもある。恩地の装丁は、昭和初期にいい作品が集中している。
さらに、マイブームはちょっと去ってしまったが、村越三千男『日本植物図鑑』(東京書院、昭和31年5月)を購入。
村越三千男『日本植物図鑑』(東京書院、昭和31年5月)表紙
村越三千男『日本植物図鑑』(東京書院、昭和31年5月)本文
長田幹彦『霧』(春陽堂、大正13年)も、かつて夢中にさせてくれた「キネマ文字、図案文字」のマイブームを呼び覚ましてくれる本だ。装丁家名は記されていないが、竹久夢二ではないかと思う。
書名は不明だが、おそらく「新小説」の合本だと思われる分厚い本を格安で購入した。これもしばらく遠ざかっていた「署名の解読」を呼び覚ましてくれる本だ。「署名の解読」は某出版社から刊行予定されているが、なかなか完成に至らないでいるテーマでもある。
書名不明の合本、所有者が貼ったものと思われる中沢弘光の挿絵。
背には、「杣の小屋 青果」「妹 荷葉」「蒲団 花袋」の文字が見える。前半に綴じられているのは「新小説」か?
挿絵:荒木芳男、書名不明
合本の後半に綴じられている部分だが、目次があり「白虹増刊 はるさめ目次」と記載されているので、「白虹」という俳句雑誌があったようだ。この部分にはたくさんの挿絵が入っており、そのほとんどのさし絵家たちが、初めて目にする名前ばかりだ。