挿絵画家・中一弥が装画を担当した装丁本は、キャリアが長い割には意外と少ないように思う。かわじもとたか編『装丁家で探す本』(杉並けやき出版、2007年)で、中一弥の項を検索してみると下記のように26タイトルが記録されていたので引用させてもらおう。(一部表記方法を変えています。)

・陣出達郎『夜明富士』(大道書店、昭和16年
・鈴木彦次郎『黎明の旋風』(協栄出版、昭和18年
・山田荘八『呪いの古城』(神田出版、昭和23年)
村上元三『お吟捕物十八夜 夜叉頭巾』(文藝図書出版社、昭和25年)
山手樹一郎『鳶のぼんくら松』(文藝図書出版、昭和25年?)
子母澤寛『飛びっちょ判官』(文藝図書出版、昭和27年)
山手樹一郎『夢介千両みやげ』正続(新小説?、昭和26年)
子母澤寛『地獄駕』正続(桃源社、昭和28年)
村上元三『捕物そばや 天狗ばなしの巻』(桃源社、昭和28年)
村上元三『捕物そばや 十手往来の巻』(桃源社、昭和28年)
川口松太郎『中一弥』(?、昭和28年)
川口松太郎『明治美人館』(?、昭和28年)
川口松太郎『さくら吹雪』(?、昭和29年)
村上元三『花頭巾』(桃源社、昭和31年)
村上元三『続花頭巾』(桃源社、昭和31年)
白井喬二『国を愛すれど女も』(新潮社、昭和34年)
村上元三松平長七郎旅日記』(桃源社、昭和38年)
村上元三松平長七郎旅日記浪花日記』(桃源社、昭和38年)
村上元三『天の火柱』(講談社、昭和40年)
村上元三『顔のない侍』(東京文藝社、昭和41年)
・池波松太郎『近藤勇白書』(講談社、昭和44年)
村上元三『白い風の道』(講談社、昭和46年)
・海音寺長五郎『かぶき大名』(講談社、昭和47年)
池波正太郎『男振』(平凡社、昭和50年)
池波正太郎『おとこの秘図』1〜5(新潮社、昭和53年)
伊藤桂一『川霧の女』(講談社、昭和55年)
以上26冊。

だが、これで一弥の装丁が一覧できるデータというわけではない。下記に掲載するような架蔵の
山手樹一郎『花魁やくざ』(東方社、昭和26年)
子母澤寛『長篇恋まんじ赤木颪(おろし)』(梧桐書院、昭和23年)
池波正太郎『ないしょないしょ』(新潮文庫、平成四年)
池波正太郎『おせん』(新潮文庫、平成12年40刷)
村上元三加賀騒動』(光文社時代小説文庫、昭和61年)
などが載っていない。ということは、まだまだ出てくる可能性があるということでもある。
中一弥の装丁本一覧というような資料は管見するかぎりない。