2009-09-11から1日間の記事一覧

『三界飛脚』の同じシーンの挿絵を2点見つけた。

上のモノクロ挿絵は46歳の油の乗り切っているころの挿絵だ。下は、59歳の時に『日本伝奇名作全集9 三界飛脚(全)』に描きおこしたものだが、長編小説の挿絵を描きおこすのに、初出の時と全く同じシーンを同じような構図で描いたのはいただけない。違う場面…

中一弥氏の40歳代は挿絵の絶頂期

尾崎秀樹『さしえの50年』(平凡社、1987年)には昭和元年から50年までに活躍した88人のさしえ画家たちのさしえとプロフィールがきさいされており、その中に中一弥も紹介されている。そこには、「村上元三や池波正太郎と組むことがおおく、村上元三の 「大久…

中一弥氏の挿絵の画材は、前述のように筆とペンだけだと思っておりましたが、それだけではなく、鉛筆を使って描くこともあった。野村胡堂「銭形平次捕物控 矢取娘』(「オール読物」S16年)は、中氏の挿絵では珍しいコンテ画と呼んでいる鉛筆画だ。

「『オール読物』から、野村胡堂さんの『銭形平次捕物控』の依頼がきたときは嬉しかったですね。たしか、昭和十六年のことです。『銭形平時』は、コンテ(鉛筆)で書いたんですよ。あるとき、外国の雑誌をめくっていたら、コンテで描いたスケッチがあった。…