2009-09-07から1日間の記事一覧

仲一弥氏のモノクロームへのこだわりは分ったが、カラーの絵も本人が悲観(謙遜?)するほどに決して悪いものではなく、むしろ、下記の作品などはさわやかで見事な色使いだと思われる。装丁としてのインパクトも充分だ。そしてなにより色っぽい。

仲一弥:画、池波正太郎『ないしょないしょ』(新潮文庫、平成4年) 仲一弥:画、池波正太郎『おせん』(新潮文庫、平成12年)

「今でも、本のカバーの注文があって、そのための絵を描くことがあります。最近では、装丁家が別にいることが多いので、絵を隅に置いたり、極端に大きくしたり、また、小さくしたりします。ときどき、僕が考えたようには使ってくれないこともあります。昔は、絵描きが装丁すると、そのまま本になったものです。今は、分業制が多く、手順としては仕方のない面もあるのでしょうが、こちらとしては、装丁家の考えを見越した上で絵を描かないと、たまに、とんでもない扱いをされてしまうこともあります。」(末國喜巳・構成『挿絵画家・中一弥』集英社新

下記の装丁を名指しで批判しているわけでははないが、中氏の不満に思っているのはこのようなものではないかというものを探して掲載してみた。 中一弥:画、池波正太郎『おとこの秘図(上)』(新潮文庫、昭和60年)、装丁:辰巳四郎 中一弥:画、池波正太郎…