恩地孝四郎装丁「神々のあけぼの」

恩地孝四郎装丁、大木惇夫「神々のあけぼの」(時代社、昭和19年4月初版)

この本は、以前紹介したが、「印刷雑誌」27巻2号(日本印刷文化協会、昭和19年)に、恩地孝四郎「決戦下の装本」という文章で「木版を活かすのもいい」と書いている事を自ら実践して見せたといってもいいほどに、恩地の気合いを感じる事が出来る装丁だ。

戦時中には入手しづらいといわれた洋紙を使った本文中に、墨1色摺りの版画が16点も印刷ではあるが挿入されている。表紙は4色刷りで戦時中としてはかなりのゼイタクである。当時は贅沢禁止令などがあり、なかなかこんな本は作れなかったはず。

しかし、表紙をよく見ると「大東亜戦争頌詩集」とあり、戦争讃歌の詩集だった事で、納得した。版画もよく見ると一番下の写真は日の丸の旗を振っている絵だ。一番上の絵は岩の上で沢山の人が万歳している。