●恩地孝四郎装丁、吉田絃二郎『かがやく小川』(実業之日本社、昭和2年)
この本は古書市などでよく見かけるが、装丁者名の記載がなく購入を躊躇していた本だ。恩地の装丁だろうとは思っていても断定することが出来なかった。
今回購入したのは、『恩地孝四郎装本の業』(三省堂)で、恩地の装丁であることを確認できたからだ。いつもは、この本に掲載されているリストが不完全なことを嘆いてばかりいたが、今回ばかりはお世話になり感謝している。
●半具象から
この頃は、まだカンディンスキーのような抽象的な装丁はなかなか市民権を得られず、じっと我慢をして、唐草模様や具象的な装画などの装丁からの脱出をうかがっていた時期で、面白い。半具象的な装画といってもいいだろうが、何を表現したのかは判断がむずかしい。函入り布装上製本、3色箔押しと、贅沢な作りだ。