2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

続いて大正15年(1926年8月)作家デビュー間もない吉川英治を一躍大人気作家に押し上げた時代小説「鳴門秘帖」(大阪毎日新聞連載)の挿絵を担当。ビアズレー風のタッチで話題になり、「モダン浮世絵」とよばれ評判を呼んだ。

ペンを使った繊細な絵というだけではなく、大胆な構成やコラージュという貼り合せの技法を採り入れたり、と、前衛美術運動にも連動した斬新な様式を採り入れている。 岩田専太郎:画、吉川英治「鳴門秘帖」(大阪毎日新聞、大正15年〜) 9月には東京に戻り、…

専太郎は、三上於菟吉『日輪』(大阪毎日新聞、1926年1月)で初めて新聞小説の挿絵を描く。専太郎は、自らが楽しんでいるかのように、次々に新しいタッチの画風を展開してみせる。

そんな専太郎を川口松太郎は「多忙になると長い時間をかけて仕事をすることが出来ず、岩田式定型に安住して作風が硬化して行くのも已むを得なかった。そんな時に『絵がマンネリになりかけているぞ』と警告するのも私で、彼も素直に頷き『少し忙しすぎたんだ…

専太郎の博学ぶりが「浮世一代女」の主人公のイメージ作りに協力

「〈浮世一代女〉を書いた時、ひょっとしたらという望みをいただいて、岩田専太郎氏におねがいしたら、かなえられて、お宅へうかがった。岩田氏はゴルフのパターの練習をしながら、待ち受けられ、実をいうと、ぼくは、まだ小説の構想など何もなかったのだ。…

岩田専太郎を画風を端的に言葉にすると「浮世絵の伝統を基盤にしながらも、時代に流行を敏感にとらえ、つぎつぎの画風を変化させていった」(松本品子、弥生美術館編『さし絵画壇の奇才岩田専太郎』河出書房新書、2006年)と、いえるだろう。時代小説と女だけではなく、現代小説、探偵小説など、どんなジャンルのものでも作風にマッチした新しい感覚の風を吹き込んでいった。

チャブ屋*の世界では名の通ったメリケンおこまの淫蕩無頼の生涯を描いた、野坂昭如『浮世一代女』(新潮社、昭和48年)の表紙絵は、ちょっと見、専太郎の絵とは判りにくい。そのくらい大胆に画風を変えることができるのが、専太郎だともいうことができる。(…

挿絵画家・中一弥が「長谷川伸賞」を受賞した時に、村上元三は「……その画風も、きわめて手がたく本格的なものであります。とくに時代考証をきびしくやってくださいますので、わたしども安心しておまかせすることができます。」(「大衆文芸」)と、それまで「花頭巾」「三界飛脚」「天の柱」など後世に残るたくさんの作品で、一弥とコンビを組んできた村上らしい挨拶を送った。これだけを読んでも文学作品における挿絵の重要性を理解できるのではないだろうか。ゆえに、単行本や全集にするときには、ぜひとも挿絵も一緒に掲載してほしいのです。

「吉川英治全集」は、新たな挿絵を描いて挿入しているが、これでは意味がない。出版社は、挿絵の重要性に関する認識が欠けているのではないだろうか。新聞掲載時の白黒のイラストよりは、カラーの挿絵を新たに加えたほうが見栄えがいいのはわかるが、明らか…

新聞小説の挿絵は、注目率を高め、読解を助け、人気を牽引するだけではなく、時には著者のイメージ作りに影響を与えることもあり、作品形成に重要な役目を果たしていることがあり、文学的資料としての価値は、文章に劣らない。

主役のイメージ作りにも、多くの作家が、挿絵にヒントを得ながら作り上げたことを述べている。新聞小説の場合は、文章に詳細な説明がなくとも人物の着物や髪形、身長、体重などを先行して作り上げなければならないことが多いからだ。風景、建物などについて…

昨日は、神保町・東京堂書店への納品で気分をよくしたので、帰途、小宮山書店のガレージセールに立ち寄ってみた。3冊で500円だが、あるわ、あるわ、岩田専太郎の挿絵、田代光、御正神、中尾進などなど、日本出版美術家連盟の先輩たちの作品ですぐに10冊を超えてしまう。

ネットでは1冊500円以上の吉川英治全集も、ここでは3冊500円。全巻欲しかったが、3冊だけでずっしり重い。 ほかには、須田剋太が描いた「街道をゆく」も購入。「坂の上の雲」は2種あったが、いずれにも挿絵は掲載されていない。新聞小説を単行本にする時…

2010年6月28日〜7月3日に開催される「第41回日本出版美術家連盟作品展」(於:銀座・サロン・ド・ジー)会場でもご購入頂けます。

この展覧会の出品作品が「粋美挿画」VOL.2の作品展出品作品として掲載されることになる。ちなみに巻頭特集は「岩田専太郎」「濱野彰親」を予定している。そして「素晴らしいJPALの先輩たち」では、高畠華宵、椛島勝一、山口将吉郎を予定している。その他、更…

神保町・東京堂書店(TEL.03-3291-5181)では、6月6日の発売日より前の、本日よりお求めになれます。

本日、神保町・東京堂書店へメールと電話で「粋美挿画」創刊号の販売をお願いしてみた。書店さんとの直接交渉だ。すると、何と100冊もの注文を受けてしまった。お願いのメールとはこんなものだった。

「本の手帳」ではいつもお世話になっております。 今回は、日本出版美術家連盟が6月6日に刊行する「粋美挿画」創刊号(年1回刊行)のお願いです。巻頭特集14頁(「99歳でなおも活躍を続ける挿絵画家・中一弥」、第40回日本出版美術家連盟作品展出品43名の作…

「粋美挿画」VOL.2から、「素晴らしいJPALの先輩たち」(仮題,*JPAL=Japan Publication Artist League)として、80名程の日本出版美術家連盟物故会員のプロフィールと代表作を紹介する頁を企画した。最初は、

高畠華宵(1888〈明治21〉-1966〈昭和41〉年)享年78歳 椛島勝一(1888〈明治21〉-1965〈昭和40〉年)享年77歳 山口将吉郎(1896〈明治29〉〜1972〈昭和47〉年)享年76歳 を予定している。10日間くらい略歴作りをやってみて、その大変さを痛感している所へ、…

やはり、椛島はリアル絵を紹介したほうがいい。「船の椛島」を紹介するにはペン画や船の絵があった方が良い。スペースの制限などもあるだろうが、代表作などは出来るだけ紹介した方が、その人の略歴という感じなするが、どうだろうか。

ここ数日間は、締め切りが1ヶ月も過ぎてしまっている「図書設計」巻頭特集7P分の原稿締め切りに追われていた。理事長からも「理事会で問題になっている……などと」催促の電話が入るが、出来ないものは出来ないので、催促されてもどうしようもない。

原稿は一応完成していたが、ここ10日くらいは、資料などで確認しなければならないことがたくさんあって掛かり切りになっていたのだが、なかなか進まず、気持ばかりが焦り大変だった。発売予定がどんどん遅れたが、6月末には刊行されるのではないだろうか。 …