ここ数日間は、締め切りが1ヶ月も過ぎてしまっている「図書設計」巻頭特集7P分の原稿締め切りに追われていた。理事長からも「理事会で問題になっている……などと」催促の電話が入るが、出来ないものは出来ないので、催促されてもどうしようもない。


原稿は一応完成していたが、ここ10日くらいは、資料などで確認しなければならないことがたくさんあって掛かり切りになっていたのだが、なかなか進まず、気持ばかりが焦り大変だった。発売予定がどんどん遅れたが、6月末には刊行されるのではないだろうか。



「図書設計」巻頭特集2-3p



「図書設計」巻頭特集4-5p


「図書設計」巻頭特集6-7p



「図書設計」巻頭特集8p


「夢二、白秋たちが育んだ 恩地孝四郎出藍の装本」の内容は、装丁論や美術史ではなく、文芸至上に燦然と輝く人たちとのいい人間関係がいい装丁を作り上げた、という、いわば裏話だ。


装丁論では意見が合わず、孝四郎は室生犀星をけむたい存在に思っていたが、犀星は、孝四郎の生計に配慮し、新聞小説挿絵は未経験という孝四郎を、朝日新聞連載小説「聖処女」の挿絵家として指名し、生活を援護した……というような内容が多い。


孝四郎は竹久夢二『春の巻』を購読し、その感動を手紙にしたため、自ら夢二宅まで届けに行く。これが、夢二と孝四郎の交友関係の始まりだ。そして、恩地にとっては、この手紙のやり取りが装丁家としての出発点になる。


医者にしたいと願う父・轍(わだち)と、内向的だった少年孝四郎が進路の選択で初めて衝突する。夢二に憧れる孝四郎は、第一高等学校の受験に失敗し、赤坂溜池にある白馬会葵橋洋画研究所に通い始める。


今年は、「本の手帳」8号、「粋美挿画」創刊号、「図書設計」79号と、どれも原稿用紙30枚を越える、私にとっては、大長編の執筆が多く、数年分の体力と能力を使い果たしてしまった。