チャブ屋*の世界では名の通ったメリケンおこまの淫蕩無頼の生涯を描いた、野坂昭如『浮世一代女』(新潮社、昭和48年)の表紙絵は、ちょっと見、専太郎の絵とは判りにくい。そのくらい大胆に画風を変えることができるのが、専太郎だともいうことができる。(*チャブ屋=横浜・神戸などの開港場で発達した、船員や外国人相手の手軽な小料理店。幕末明治初期の語。「広辞苑」)
岩田専太郎:画、野坂昭如『浮世一代女』(新潮社、昭和48年)
この『浮世一代女』にはさし絵が入っていないが、「小説新潮」(昭和45年1月)に連載された時には、下記のような岩田専太郎のさし絵がついていた。
岩田専太郎:画、「浮世一代女」(「小説新潮」昭和45年1月)部分。雑誌に掲載された当時のこんな絵が単行本にも挿入されていたら、売れ行きもさらに伸びたのではないだろうか。