あの世界遺産・富士山の雅称は「芙蓉峰」

 冬に地上部は枯れ、春に新たな芽を生やし、夏には背丈より大きくなり、ピンクの大きな花を枝一杯に咲かせ夏の庭のマドンナになる。そんな勢いと華のある芙蓉に幼心ながらあこがれた。
 写真はアメリカフヨウ(草芙蓉(くさふよう))。米国アラバマ州の原産で、7〜9月頃に私の顔ほどの直径20cmにもなる大きな花をつける。写真では分かりにくいが、めしべの先端が曲がっているのが特徴。


 古くは往々にしてハスの花を指した。うすく柔らかで楚々とした花の容姿から美女の形容としても多用される。さまざまな別称としても知られ「芙蓉樹」はネムノキ、「芙蓉鳥」はカナリアの別称。
 あの世界遺産の富士山の雅称は「芙蓉峰」。みずほグループの旧名である芙蓉グループは「富士銀行」の「富士」にちなんだものである。

富嶽三十六景 神奈川沖浪裏-葛飾北斎部分



 写真上は鰭崎英朋:画、泉鏡花『続風流線』表紙(春陽堂、昭和38年8月)、この本のおぼれる女性を助ける挿絵はつとに知られている(写真下)。

鰭崎英朋:画、泉鏡花『続風流線』挿絵(春陽堂、昭和38年8月)