黒百合は恋の花〜♪の黒百合はユリではない?

ユリの花にはヤマユリオニユリ、ヒメユリ、テッポウユリ、と種類が多く、「黒百合は恋の花〜♪」と歌に歌われるほど身近な花だ(クロユリはユリに似た黒い花を咲かせるがユリ科の植物ではあるが属が異なる山野草らしい)。
 美女の形容として「立てば芍薬、坐れば牡丹、歩く姿は百合の花」があるが、小百合、百合子、百合枝などと、美しい娘であって欲しいという父親の願いがこめられているのか、身近にも「ゆり」という名前の女性は多い。最近の若い女性はスタイルが良くこの句のような女性を多く見かけるようになったのは、世の親たちの願いが叶ったのだろうか。


 百合根ご飯というと今では料亭にでも行かないとお目にかかれない高級料理になってしまったが、幼いころは、春先に芽が出たばかりの出来るだけ大きそうなユリ根を山で探して掘り起こし、夕餉(ゆうげ)に間に合うように持ち帰ると、美味しい百合根ご飯を頂くことが出来た。百合根を生でかじるとかなり苦かった。



 写真は、中沢弘光:画、与謝野晶子『晶子歌話』(天佑社、大正8年6月)