お月見に欠かせない吾木香は秋の七草ではない?

暑い日が続いているが、散歩の途中で、桔梗、萩、オミナエシなどを見つけ、秋が近づいているのを実感している。
 ところで、秋の十五夜のお月見では、薄(すすき)とともに欠かせない吾木香(ワレモコウ)だが、なぜか秋の七草ではないらしいってこと知ってたかな? 暗赤色の丸い花穂が丸いダンゴのようでおもしろい「ワレモコウ」。花とは見なされなかったのだろうか。


 花穂は小さな花の集まりだが、よく見ると小さなピンクの花が咲いているのが分かるが、花びらに見える部分は萼(がく)で花びらは退化している。よく見かける赤茶色の花は、花の終わった姿だ。
 小花を穂のように咲かせる植物の場合、下から先端へ向かって咲き進むものが多いが、ワレモコウの場合は先端から下に向かって咲き進んでいく。このような咲き方を「有限花序」というらしい。



 写真の見事な装画は、東京美術学校(現東京芸大)の教授でもあった染色工芸家・廣川松五郎(1889−1952)が描いたワレモコウ、与謝野晶子『晶子恋歌抄』函(三徳社、大正11年12月)