「mac」は松野一夫のサインか?

横浜に住むS.Eさんから10年ぶりくらいに電話があり、下記のようなメールが送られててきた。
 
「本日は、大貫さんでないと解決できない問題がありまして、問い合わせをした次第です。添付の資料5枚をご覧ください。いずれも夢野久作の短編小説に掲載されていた挿絵です。

 1〜4枚目のページは雑誌『新青年』に掲載されていたものですが、5枚目は春陽堂発行の『日本小説文庫 228 押絵の奇蹟』の中の挿絵です。





 
 1枚目の目次にこの号の挿絵画家の名前が書かれています。「一夫、節太郎、英太郎、賛、令花」の5名 が担当しています。従って同じ号の2枚目の挿絵は挿絵の中に「Eitarou」というような文字が書かれていますので、「英太郎」が担当したように思われます。すなわち「竹中英太郎」ではないでしょうか。
 
 3枚目は「英太郎」と書かれていますので、この挿絵も「竹中英太郎」ではないかと思われます。  
 4枚目は「EiTaRo」との文字が挿絵の中に書いてありますので、この絵も「竹中英太郎」ではないかと思われます。この短篇の最後に(竹中英太郎画)という記載がありましたので、明らかです。


 5枚目の絵ですが、「 mac. 」という名前の一部みたいなのが右下に書かれていますが、この挿絵画家の名前が分かりません。
もしお分かりでしたら、是非お教えください。」

とのこと。つまり、「mac」は誰のサインなのか調べて欲しいというものだった。
 私は松野一夫がmatsuno cazuoをmacとしたのではないかとの仮説を立て、それを実証しようとたくさんの資料を漁ってみたが、松野一夫は挿絵にサインをあまり残さないので難航しており、いまだに解決には至っていない。
  ちなみに、目次に記されている「挿畫」の5名とは、松野一夫、坪内節太郎、竹中英太郎、内藤賛、沢令花のことである。