2011-04-17から1日間の記事一覧

以上僕の是まで歩いた道を略記したが、さて五十年前を顧みて思うにその頃の僕達の絵の刺激の対照となったのは水野年方、富岡永洗、梶田半古、武内桂舟、というような先生達で凡そ挿画に志す人だったら是等の先生の直接間接に感化を受けぬ人はなかったと思う。殊に半古の読売新聞における挿画は簡潔で瀟洒で当代風俗表現の妙手だった。

それから漫画家として渡辺審也の時事新報に於ける挿画は一大特色を帯び、木版に編目彫りの創意を見せて注目をひいた。洋画家で新聞小説の挿画を描いたのは恐らくこの人が最初ではないかとおもう。 その新聞小説の挿画は凡そそれぞれの新聞の専属的になって居…