杉浦非水:装丁、福田重政『聖賢格言集』(杉本梁江堂、中山春秋社、明治45年2月20日)
この本は展覧会開催の約40日ほど前に刊行されており、展覧会には出品されたものと思われる。非水のサインが見当たらないと思ったら、サインだけが表4にありました。このデザインにサインは邪魔者だったのでしょうかね。
杉浦非水:装丁、三浦修吾譯『愛の学校』(文栄閣・春秋社、明治45年6月)
この本はアミーチス『クオレ』として知られているが、翻訳に当って三浦が『愛の学校』としたもの。発行日が明治45年6月で「書籍装幀雑誌表紙図案展覧会」が終わってからの刊行だったなでしこをアールヌーボー風に描いた非水の作品は多く、好きなモチーフだったようだ。
杉浦非水:装丁、日向甲『赤穂誠忠録』(通俗教育普及会、大正2年)
これは、たまたま新撰組の衣裳が幾何学模様を取り入れていたので、アールデコのような装丁になっているが、デコではありません。それにしても大胆でモダンな装丁ですね。
杉浦非水:装丁、小酒井不木『三面座談』(京文社、大正14年)
洋行から帰国してまもなくの作品なので、気になって購入。それまでのアールヌーボー風というよりは、アールデコ風で幾何学的な切れ味があり、アールヌーボーとは一味違った繊細ですっきりさわやかな印象のデザインがいい。植物をモチーフにしているところはアールヌーボーを引きずっているが、アールデコとはそんなさまざまな美術運動をごった煮にしたデザイン運動なのだ。
杉浦非水:装丁、「短歌至上主義」(藤浪会、昭和17年)
非水と妻・翠子はモガ・モボ(モダンガール、モダンボーイ)ともてはやされたオシドリ夫婦。非水は歌人・翠子を装丁挿絵等の面から応援した。西欧旅行に行った時も翠子は、寂しいからと反対したと言われる。さらに関東大震災が発生し、すぐに帰るようにと連絡したのも翠子だった、という話を聞いたことがある。
古書市では、高橋忠弥装丁本も見つけることが出来た。
高橋忠弥:装丁、佐々木邦『正会員生活』(大都書房、昭和18年)
忠弥の数少ない戦前・戦中の装丁だ。
高橋忠弥:装丁、田村泰次郎『女の復讐』(湊書房、昭和26年)
デフォルメされたフォルムが美しい。
当ブログへの来客数が321000ときれいに並んだ瞬間を目撃した。こんなつまらないことだがいつも気になっていて、次は333333と並ぶ日を楽しみにしている。