朝日新聞朝刊に連載中の中一弥:画、乙川勇三郎「麗しき果実」の挿絵の左右寸法は、通常切手約4枚分で、ハガキの半分よりやや小さいくらいの大きさだが、細かい部分まで細密に描かれている。こんなに細かい部分まで、98歳の画家が原寸大で描いているとは思えない。一体どのくらいの寸法で描いているのだろうか?



中一弥:画、乙川勇三郎「麗しき果実」(朝日新聞、2009年8月)


そんな疑問を持つ人は多いのではないか、と思い早速調べてみた。「昔は新聞連載の挿絵を描くとき、掲載時の大きさの六、七倍の大きさで描いたものですが、今は、だいたい四倍の大きさで描けばいい。縮尺の予想は楽になったけど、原画だけ比べれば、昔の方が迫力があったと思います。岩田専太郎さんは、この縮尺予想が、本当に巧かった。原画は粗っぽく描いていますが、縮尺すると、克明に描いているように見える。」(前掲『挿絵画家・中一弥』)と、約4倍で描いているようだ。ちょうど、ハガキ2枚分、A5判の単行本くらいの大きさだ。



岩田専太郎:画、三上於菟吉『日輪』(大阪毎日新聞、大正15年)90×123㎜
これが、「本当に巧かった」と、一弥が絶賛する岩田専太郎新聞小説の挿絵だ。