「粋美挿画」第4号の企画では「石井鶴三と春陽会の挿絵画家たち」の話を書かせてもらいたいんだけど……」

「石井鶴三は、洋画家として初めて新聞小説挿絵を描いた春陽会の画家なんだ……昭和2年春陽会展に“挿画室”をつくって、木村荘八、河野通勢、山本鼎小杉未醒などと一緒に上野のお山の美術館に挿絵を飾ったんだ……そのメンバー達が中心になって昭和14年に“挿絵倶楽部”という30余名の挿絵家団体を初めて立ち上げた……岩田専太郎も会員だったようだ……」
「それってすごいはなしだね、印刷物の挿絵を油絵などの芸術作品と一緒に扱ったんだ。印刷物も油絵も同じ芸術なんだ、という主張だったんだろうね。もしかして、終戦間もない昭和23年に岩田専太郎が初代の理事長となる日本出版美術家連盟を立ち上げるきっかけになっていたのかもしれないね」
などの話をして電話は終った。



春陽会創設メンバー


昼食をとり、事務所に戻ると大きな封筒が届いていた。開いてみると、なんと、あまりにも偶然な、先ほど電話で話していた内容がそっくり書かれているような