幼くなっていく桃太郎に気を取られ過ぎたが、今回のテーマは、桃太郎は何歳の時に鬼退治をしたのかだった。


楠山正雄『桃太郎(『日本童話宝玉集』下、冨山房大正11年)には、
「桃太郎は十五になりました。もうそのじぶんには、日本の国ぢゅうで、桃太郎ほどつよいものはないやうになりました。桃太郎はどこかひろい外国へ出かけて、腕いつぱい、力だめしをして見たくなりました。」と、十五歳の時に、腕試しに外国にいきたい、という、珍しい鬼退治の動機が語られている。


文:おおかわえっせい、絵:みたげんじろう『ももの子たろう』(ポプラ社、1967年)では
「おおきくなって、つよくなる。十ばかりの としに なると、じいさまの かわりに 山へ いき、山じゅうの たきぎを とってくるやら、ふとい 木を うんこらと かついでくるやら した。」とあり、十歳だった。



文:おおかわえっせい、絵:みたげんじろう『ももの子たろう』(ポプラ社、1967年)


『ああ玉杯に花うけて』などで知られる佐藤紅緑の『桃太郎遠征記』(『少年少女』講談社、、昭和8年)では、
「鬼の国から流れて来る悪い病は先ず源の鬼の国を成敗して、みんな日本風にしてしまはなければなりません。僕はもう十五歳です。男は十五歳になれば、国のためを考えなきやなりません。僕は日本のため大和村のため、どうしても征伐にいきたいのです。」と、十五歳の時に鬼征伐に行っている。


菊池寛『モモタラウ』(『小学生全集7』文藝春秋社、昭和3年)では、
「オジイサントオバアサンニ、カハイガラレマシタ。ヤガテ、モモタラウハ、十五ニナリマシタ。」とあり、十五歳だ。