桃太郎が、明治以来100年かけて徐々に若返っているのは、回春型の桃太郎に出てくる桃を桃太郎自身が食べてしまったのではないかと思われるほどの若返りぶりだ。



大野豊:絵、卯月泰子・文「ももたろう」(『名作アニメ絵本シリーズ20』長岡書店、1992年)


この本の最終ページには「『ももたろう』は日本昔話の一つです。ももたろうのもとの話は、どろぼうのうわまえをはねる内容で、戦争中、日本は、植民地を持つ西欧列強を鬼に、日本をももたろうにたとえ、軍国主義の宣伝に利用しました。ここでは子どもに誤解をあたえないようにしました。」とある。
そのため、鬼ヶ島から財宝を分捕ってくるのではなく、「おまえたちが ぬすんで きた たからものは、 わたしが みんなに かえして あげる」となっている。それにかんしんした殿様は、「わたしの ひめの むこに なって ほしい」といって、ももたろうはおひめさまとしあわせにくらす、というストーリになっている。


小学校低学年用ではなく、なんと、とうとう「あかちゃんめいさく」になってしまった本もある。ターゲットは赤ちゃんだ。


わらべきみか作『あかちゃんめいさく ももたろう』(ひさかたチャイルド、1995年)
まるでブルーナのえほんのようだ。