挿絵画家はカラーの絵が苦手?

『カラー版国民の文学 松本清張「火の縄」「無宿人別帳」』(河出書房、昭和42年)には田代光の挿絵が16点挿入されている。うち8点がカラー挿絵だが、なぜかスミ1色の挿絵の方が良いように思える。


 新聞小説や雑誌の挿絵の多くはスミ1色で描くことが多く、カラーで描くのは案外得意ではないのではないか? 色を使うと挿絵ではなく、絵画になってしまうのか? 躍動感が薄れてくるようだ。とはいうものの田代は二科会一水会の画家でもあったわけだから、そんなこといったら失礼か。