吉川英治「萬花地獄」で挿絵画家・田代光vs伊藤彦造

田代光:画、吉川英治「萬花地獄」(『吉川英治全集3』講談社、昭和43年)写真左、を見ていたら、雑誌に掲載された時の挿絵は誰が描いていたのか気になり調べたら、書庫から写真右の伊藤彦造:画、吉川英治「萬花地獄」(「キング」昭和3年11月号)が出て来た。


 田代ファンとしては、どちらがいいかはいいにくいが、髷物(まげもの)の挿絵を専門に描いていた伊藤彦造に歩があるように思える。田代は、人物の動きはいいが、あまり髷物を描いていないせいか、ちょっと気後れしているようでいつもの勢いが感じられない。

伊藤彦造:画、吉川英治「萬花地獄」(「キング」昭和3年12月号)



田代光:画、吉川英治「萬花地獄」(『吉川英治全集3』講談社、昭和43年)


ちなみに描いた時の年齢を調べてみると田代が55歳、伊藤が24歳の時に描いたもので、年齢も影響しているのか?