青山はまめな性格で、手がけた装丁のメモを「書物雑誌装幀書目」という台帳のようなものを作って記録しているので、「30冊位」というのは間違いはないだろう。



青山二郎「書物雑誌装幀書目」


青山の装幀について、師匠の中川一政は「小林秀雄の文芸評論集やジイド全集は、青山二郎の整本装釘によるものだが、文芸評論の菊判一杯に四号位の活字を使った組方など、なかなかゆっくりしていて立派である。むずかしい文章もこうすれば急がないで読める。ジイド全集の画布を使った表紙など丈夫でたのもしい。日本の現在の出版元は、装釘家に活字の組方、活字の大きさ、本の大きさの相談は絶対にしないのである。ただ辛うじて紙質の変更位は出来るが、それとても、既に買ってありますからと云うのである。それではよい本は出来ない。私共のする事は、そのときにはもう消極的に、その出版元のきめた範囲の中で出来るだけの最善を尽くすのである。」と、装画についてのコメントはなく、表紙に用いた画布と、本文に使った活字の大きさについてだけ、コメントしている。